本書は、右翼団体「日本大志会」の総帥である高校生・神楽日毬がアイドルとなって政治の頂点を目指す、至道流星による小説シリーズの第3巻である。毎回、芸能界の内情を交えながら、日毬の躍進ぶりを描いているが、本作では日毬が副業としてファッションブランドを立ち上げるさまがつづられている。
芸能人がファッションデザイナーになりたがるという例は、見渡せばそれこそ山のようにある。アイドルグループのメンバーや読者モデル出身のタレントなどが競うようにファッションブランドを立ち上げ、デザイナーとして脚光を浴びるというのは、今の芸能界では日常茶飯事といってもいいだろう。
本書では、日毬がデザイナーとしてデビューするまでの日々を通して、芸能人がファッションデザイナーになることのメリットがこれでもかといわんばかりに説明される。一つ、芸能人としての箔がつく、一つ、お金になる、一つ、実際にデザインしなくとも元になるアイデアを出すだけでデザイナー扱いされる……などなど。
ただ、このシリーズが面白いのは、ヒロインたる日毬の破天荒な行動が、上記に挙げたような「お約束」をことごとく覆してしまうことだ。ちょっとアイデアを出すだけでよかったはずなのに、何事にも手を抜こうとしない日毬は、洋服のデザインに本格的に関わり、結果としてブランドは大成功を収めることになる。ただし、その反面で日毬は体調を崩してしまって……。
そんな斜め上の方向に物語が転がされるものだから、読者はついつい先が気になってしまう。エンターテインメントの基本といえば、その通り。けれども、芸能界の内情を絡めることで、「実際にあのアイドルはどうなのかな~」というふうに読めるあたりは著者の腕のなせるわざだろう。
第3巻では、それ以外にも主要人物の今後にちょっとしたサプライズが訪れる。今後がますます楽しみなシリーズになってきた。
芸能人がファッションデザイナーになりたがるという例は、見渡せばそれこそ山のようにある。アイドルグループのメンバーや読者モデル出身のタレントなどが競うようにファッションブランドを立ち上げ、デザイナーとして脚光を浴びるというのは、今の芸能界では日常茶飯事といってもいいだろう。
本書では、日毬がデザイナーとしてデビューするまでの日々を通して、芸能人がファッションデザイナーになることのメリットがこれでもかといわんばかりに説明される。一つ、芸能人としての箔がつく、一つ、お金になる、一つ、実際にデザインしなくとも元になるアイデアを出すだけでデザイナー扱いされる……などなど。
ただ、このシリーズが面白いのは、ヒロインたる日毬の破天荒な行動が、上記に挙げたような「お約束」をことごとく覆してしまうことだ。ちょっとアイデアを出すだけでよかったはずなのに、何事にも手を抜こうとしない日毬は、洋服のデザインに本格的に関わり、結果としてブランドは大成功を収めることになる。ただし、その反面で日毬は体調を崩してしまって……。
そんな斜め上の方向に物語が転がされるものだから、読者はついつい先が気になってしまう。エンターテインメントの基本といえば、その通り。けれども、芸能界の内情を絡めることで、「実際にあのアイドルはどうなのかな~」というふうに読めるあたりは著者の腕のなせるわざだろう。
第3巻では、それ以外にも主要人物の今後にちょっとしたサプライズが訪れる。今後がますます楽しみなシリーズになってきた。