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「武器としての交渉思考」のレビュー

銅

武器としての交渉思考

相手のことを想う

レビュアー:ヴィリジアン・ヴィガン WarriorWarrior

 「交渉してみないか?」という交渉が詰まった一冊だった。
 交渉というと高尚な感じが……いやごめん何でもない。
 呪文のような言葉が沢山でてくる。
「バトナ」=目の前の交渉相手と合意する以外の選択肢のなかで、いちばん良い条件の選択肢。
「ゾーパ」=合意が可能となる範囲。
「ラポール」=何かしらの共通項。
「アンカリンク」=ふっかけてみる。
 いかにも難しそうな感じだが、ちょっと中2病っぽくしたかったのだと思って乗り越えて頂きたい。重要な用語は所々まとめられているので、後から確認しやすい本になっている。
 まあ、フリーマーケットで値切るときだって交渉しなくてはならないし、お小遣いの値上げにも交渉は必要だ。
 練習問題と制限時間があり早く答えが知りたくて、考えないですぐ読んでしまいそうになる。もちろん模範解答はあるのだが、明確な正解のない時代を生きていく上で、一度立ち止まってどうか3分なり5分なり考えてみて欲しい。
 大切なのは模範解答に近い答えを出すことではなく、とりあえず自分の答えを出してみることだ。
 ちなみに、父親が娘の誕生日プレゼントの自転車を仕事が忙しくて前日まで買えず、ギリギリ交渉で手に入れた、どのような交渉をしたのか?という練習問題があった。
 私の答えは、そんな交渉ができる優秀な父親なら、忙しくて娘のプレゼントがギリギリまで買えないなんてことはないんじゃね?である。
 この程度でいいのだ。たぶん。
 交渉は相手の考えていることや情報をどれだけ集められるかの勝負だ。
 それは人を「想う」ことと同じなのだと感じた。
 著者がこの本を書いた目的は「読者のなかから、実際に行動を起こして、現実の世の中を良い方向に動かしていってくれる若い人間がひとりでも現れること」だと言う。
 どうやら私ではなさそうだ(笑)。
 君なんじゃないかなーと思う。何かを変えてくれるんじゃないかなーと思う。
 武器はここにある。
 本屋で見つけたら、パラパラとページをめくってみないか?

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2013.07.08


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