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「カレンダー小説」のレビュー

銅

メイ・デイ

勘違い

レビュアー:ジョッキ生 KnightKnight

ラストでそうくるか、と唸ってしまった。いやーそうくるか。

母親に捨てられ、父親と共に過ごすも、食べ物もろくに与えられないような生活を送る少女の物語は、彼女がその状況から解放され、幸せになることで終わるだと思っていた。

でも、違った。

そもそも、彼女が抱く父親への想いを、俺を含め、作中の大人達みんな勘違いしていたんだな。

思い込みというか、よく聞く、虐待されてる子はそれでも疑いなく親元を離れない的な話が頭の中にあって、彼女も例外なくそれなんだろうと思っていたんだ。

だから後半、彼女が父親への想いを語るたび、その想い深さを知って、ちょっと恥ずかしくなっちゃった。表面的なことだけを見て、何を分かった気でいたんだろう。最後の少女の言葉を聞いて唖然としていたのは、作中の大人達だけじゃなく、俺も一緒だ。

この物語は、不幸な少女の話なんかじゃなかったんだなー。見事に騙されたぜ。

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2014.05.20

「カレンダー小説」のレビュー

銅

カレンダー小説

読書日和

レビュアー:鳩羽 WarriorWarrior

 どうやら、カレンダー小説を見逃してしまったようだ。
 悔しいので『星海社カレンダー小説2012』を、棚から引っこ抜いてきた。

 人は誰だって忙しいから、なにか読みたいと思っても通学・通勤時間や寝る前のひとときくらいしか、その時間に充てられないことが多い。だいたいその短い時間さえ、他に使いたいことがたくさんありすぎる。
 そりゃ、細切れな時間にとびとびに読んでも、ストーリーが分からなくなったりしない本もたくさんある。ドラマ性があって、スピード感のある展開で、安心できるキャラの話とか。
 だが同時に、人は誰だって疲れている。ちょっと周りから自分を遮断して、静かにごろっとした一塊の文章を読みくだしたいときだって、あるのだ。それを消化する気だるさに身を置きたいときが、毎日ではなくても、やっぱりある。
  短編だけど、読みやすくはない。容易にばらけたりしない。
 どうだ、そろそろ何か読みたいんじゃないかい、好みかどうか分からない冒険をしてみないかい、と黙って機会を与えてくれるのがカレンダー小説なのかもしれない。

 そういえば、この本の表紙は、規則正しくならんだ丸の模様だ。
 これは、大事な日程には丸印をつけておくこと! という、非常に重要なメッセージを内包したまことに趣深い装丁であると言えよう。

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2013.05.29


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