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読者レビュー

銅

カレンダー小説

読書日和

レビュアー:鳩羽 Warrior

 どうやら、カレンダー小説を見逃してしまったようだ。
 悔しいので『星海社カレンダー小説2012』を、棚から引っこ抜いてきた。

 人は誰だって忙しいから、なにか読みたいと思っても通学・通勤時間や寝る前のひとときくらいしか、その時間に充てられないことが多い。だいたいその短い時間さえ、他に使いたいことがたくさんありすぎる。
 そりゃ、細切れな時間にとびとびに読んでも、ストーリーが分からなくなったりしない本もたくさんある。ドラマ性があって、スピード感のある展開で、安心できるキャラの話とか。
 だが同時に、人は誰だって疲れている。ちょっと周りから自分を遮断して、静かにごろっとした一塊の文章を読みくだしたいときだって、あるのだ。それを消化する気だるさに身を置きたいときが、毎日ではなくても、やっぱりある。
  短編だけど、読みやすくはない。容易にばらけたりしない。
 どうだ、そろそろ何か読みたいんじゃないかい、好みかどうか分からない冒険をしてみないかい、と黙って機会を与えてくれるのがカレンダー小説なのかもしれない。

 そういえば、この本の表紙は、規則正しくならんだ丸の模様だ。
 これは、大事な日程には丸印をつけておくこと! という、非常に重要なメッセージを内包したまことに趣深い装丁であると言えよう。

2013.05.29

まいか
大人になるたびにゆっくり本を読む時間が少なくなった気がします。頭で理解することは子供のときよりできるのに、もどかしい。
さやわか
「安心できるキャラ」「周りから自分を遮断して」「ごろっとした一塊の文章を読みくだしたい」「それを消化する気だるさに身を置きたいとき」「容易にばらけたりしない」などなど、修辞に特徴があってなかなか魅力的なレビューですな。文章を書くことをよく追求している風があって、好感が持てます。レビューとしてもそつない印象があったのですが、一点だけ気になったことがありました。それは、「カレンダー小説」という企画について、特に説明もなく書かれていること。たとえば星海社のことを全く知らない人が、たまたまこのレビュアー騎士団のサイトを見てこのレビューを見たとして、何が書かれているのか理解するのはちょっと難しい。とすると、残念ながらその人はカレンダー小説を読んでくれないかもしれない。それは、このレビューが書かれた理由(素敵な本を紹介する)からすると望ましくないことですよね。そのへんをちょっとだけ考慮して、シンプルな「感想」に近いところから抜け出すといいのではないかと思いました。ともあれ「銅」とさせてください!

本文はここまでです。