『二十四歳の地図』
小説家・小柳粒男に期待
レビュアー:yagi_pon Novice
小柳粒男という人物を、私は最近になって初めて知った。公開企画会議というニコニコ生放送で、作家の渡辺浩弐さんと、編集者の太田克史がやっている番組である。どうやら北海道在住で作家だという彼。私はそれまで名前も知らなかった彼が、なにやら身一つで上京してきたらしい。そして、今はなんとか寝床と仕事を見つけて、新聞配達をしているらしい。
なんともおもしろい話だ。友人に「実は俺、北海道から身一つで上京して、住み込みで新聞配達やってんだ」と言われたら、笑って「冗談だろ」と突っ込むレベルである。しかし、どうやら本当の話のようだ。
しかしだ。失礼な話、どうにも私は彼の本を読んでみたい気にはならない。彼を応援したい気持ちはある。そして、別にハードボイルドが苦手なわけではない。Amazonのレビューによくない評価が並んでいるからでもない。ただ単純に、今の彼の状況そのものがそこらへんの小説なんかよりもよっぽどおもしろそうに思えるからだ。
上京男・小柳粒男の日常に興味はあるけれども、小説家・小柳粒男の作品に惹かれるまでには至っていない。それは、現時点では、彼の置かれた状況がおもしろいのであって、彼の作品がおもしろいのかということとはまったく別問題だからだ。
ただまぁ、だからと言って小説家・小柳粒男に期待していないわけではない。
個人的な話になってしまうが、私は6歳のときからずっと、彼が日夜新聞を配達している場所に程近い場所に住んでいる。そう、渋谷だ。おそらく一番多く訪れたことのある場所だろう。そんな私にとっては、渋谷の夜の騒々しさも、明け方の静けさも染み付いてしまっている景色になってしまっていると言ってもいい。
そんな渋谷を見て、北海道からきた上京男がどう思うかということは、私にとって非常に気になるところである。ましてや彼は小説家だ。この街を、この街の景色を、いったいどう表現してくれるのか、私はそこに日常的にいる人間としてとても期待している。そして同時に、上京男・小柳粒男ではなく、小説家・小柳粒男に惹かれるようなものを書いてくれることにも期待しているのだ。
『二十四歳の地図』を読んで、今はまだ、私は「この状況おもしろいなー」と思っている段階です。しかし、それがいずれは「この人おもしろいなー」と思うようになり、そののちには「この人の本おもしろいなー」と思えるようになればいいなと、そんな期待をしています。
最前線で『渋谷/道玄坂で新聞を配る小説家・小柳粒男 二十四歳の地図』を読む
なんともおもしろい話だ。友人に「実は俺、北海道から身一つで上京して、住み込みで新聞配達やってんだ」と言われたら、笑って「冗談だろ」と突っ込むレベルである。しかし、どうやら本当の話のようだ。
しかしだ。失礼な話、どうにも私は彼の本を読んでみたい気にはならない。彼を応援したい気持ちはある。そして、別にハードボイルドが苦手なわけではない。Amazonのレビューによくない評価が並んでいるからでもない。ただ単純に、今の彼の状況そのものがそこらへんの小説なんかよりもよっぽどおもしろそうに思えるからだ。
上京男・小柳粒男の日常に興味はあるけれども、小説家・小柳粒男の作品に惹かれるまでには至っていない。それは、現時点では、彼の置かれた状況がおもしろいのであって、彼の作品がおもしろいのかということとはまったく別問題だからだ。
ただまぁ、だからと言って小説家・小柳粒男に期待していないわけではない。
個人的な話になってしまうが、私は6歳のときからずっと、彼が日夜新聞を配達している場所に程近い場所に住んでいる。そう、渋谷だ。おそらく一番多く訪れたことのある場所だろう。そんな私にとっては、渋谷の夜の騒々しさも、明け方の静けさも染み付いてしまっている景色になってしまっていると言ってもいい。
そんな渋谷を見て、北海道からきた上京男がどう思うかということは、私にとって非常に気になるところである。ましてや彼は小説家だ。この街を、この街の景色を、いったいどう表現してくれるのか、私はそこに日常的にいる人間としてとても期待している。そして同時に、上京男・小柳粒男ではなく、小説家・小柳粒男に惹かれるようなものを書いてくれることにも期待しているのだ。
『二十四歳の地図』を読んで、今はまだ、私は「この状況おもしろいなー」と思っている段階です。しかし、それがいずれは「この人おもしろいなー」と思うようになり、そののちには「この人の本おもしろいなー」と思えるようになればいいなと、そんな期待をしています。
最前線で『渋谷/道玄坂で新聞を配る小説家・小柳粒男 二十四歳の地図』を読む