エレGY
件名『泉和良さんへ』
レビュアー:Thunderbolt侍
少し風変わりな恋愛小説「エレGY(エレジィ)」は、300ページ(文庫版)のほとんどをその苦悩の描写に費やしている。
エレGYがジスカルドに向ける全肯定の好意は一方的で無限大だ。
それは不本意な状況に追い込まれているジスカルドこと泉和良にとってどれほど重いものだったろうか。彼女に溺れるという状況が、その言葉の通りに彼を苦しめる。
恋愛において「相手に愛してもらえるか」と同じくらい切実な悩みが「自分が愛して貰うに足る存在であるか」だろう。
愛される資格を、自らに問う。
今、世間には「自分探し」を小馬鹿にする風潮がある。
結局自分なんて、自分の中にしかない。そう思っているからだ。
だからこそ、最後の最後、エレGYの中に「自分」を見つけることができた泉のことを心の底から羨ましいと感じた。
主人公と同名である作者によると、エレGYは7、8割実話だそうだ。
どのあたりが本当で、どのあたりが創作なのか、ちょっと下世話な興味も含めて気になるところだが、以下のくだりは本当(本音)だろう。
『僕が真摯になって生み出す創作物は(中略)奇跡的に誰かのもとへ届き、心の道標や支えとなって、未知なる新しい息吹を生んでいくのだ』
私が新しい息吹を生み出すかどうかはさておき、このことは泉さんに伝えておきたい。
届きましたよ、と。
さあ、恋をしよう。
とりあえず「君のパンツ姿の写真、求む」。
エレGYがジスカルドに向ける全肯定の好意は一方的で無限大だ。
それは不本意な状況に追い込まれているジスカルドこと泉和良にとってどれほど重いものだったろうか。彼女に溺れるという状況が、その言葉の通りに彼を苦しめる。
恋愛において「相手に愛してもらえるか」と同じくらい切実な悩みが「自分が愛して貰うに足る存在であるか」だろう。
愛される資格を、自らに問う。
今、世間には「自分探し」を小馬鹿にする風潮がある。
結局自分なんて、自分の中にしかない。そう思っているからだ。
だからこそ、最後の最後、エレGYの中に「自分」を見つけることができた泉のことを心の底から羨ましいと感じた。
主人公と同名である作者によると、エレGYは7、8割実話だそうだ。
どのあたりが本当で、どのあたりが創作なのか、ちょっと下世話な興味も含めて気になるところだが、以下のくだりは本当(本音)だろう。
『僕が真摯になって生み出す創作物は(中略)奇跡的に誰かのもとへ届き、心の道標や支えとなって、未知なる新しい息吹を生んでいくのだ』
私が新しい息吹を生み出すかどうかはさておき、このことは泉さんに伝えておきたい。
届きましたよ、と。
さあ、恋をしよう。
とりあえず「君のパンツ姿の写真、求む」。