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読者レビュー

銅

1999年のゲーム・キッズ(上)

雄弁な絵

レビュアー:zonby Adept

うっかり上巻しか買っていなかった「1999年のゲーム・キッズ」であるがパラパラめくっていたイラストだけで、もう下巻を買わねばという気持ちになってしまい、たいへんだ。

「1999年のゲーム・キッズ」に使用されている
「第九話 究極のビジネス KETWARD★人口冬眠」のイラストがあまりに素晴らしく眩暈がした次第である。
人工冬眠という題に合わせて、つららの中で眠る女性達を描いたイラストだ。
停滞した氷の中、各々の姿勢で目を閉じている女性達は全員全裸で、なめらかな身体の線が美しく、悩ましい。
驚くべきことは、これがモノクロイラストだということである。
カラーイラストなんて見た日には、爆死するのではないかとひやひやする。

竹さんのイラストにおけるその色彩感覚や、独特の線。画面構成については知られたところなので、今更私が熱弁するまでもないだろう。
それよりも注目したいのは、竹さんが描く女性の身体。
それを形作る線へのこだわりである。
柔らかく。
しなやか。
全てがゆるやかな曲線で表現される女性像には
清潔な色気が万遍なく満ちていると思う。
この明らかに女性的な身体を描きながらも
中性。
いやいっそ無性とさえ感じられる、そのバランス感覚は稀有なものだ。

「1999年のゲーム・キッズ」を手にとる機会があったら
55ページを開いて見て欲しい!

そんな紹介をしたくなるようなすごい絵だ。

2013.06.22

ゆうき
う~~~ん!どんな絵なのか気になって仕方がないです。竹さんのイラストはどれも素敵なのでこれはチェックするしかありませんね!「竹画廊」も併せて覗いてこようと思います!
さやわか
一行目の「下巻を買わねば」という言い方に勢いがあって好きですね。そして、zonbyさんにそう思わせたイラストが掲載されている「55ページを開いて見て欲しい!」という書き方が熱くて、すごくいいと思います。イラストについての細かな評価も見どころがある。もし可能であれば、もう少し作品そのもの、つまり小説との関係について触れておくと、よりこのイラストがここに掲載されていることの価値やイラストレーターの技量について深く語ることができるのではないかなと思いました。ということで今回は「銅」とさせていただきます! しかしこのイラストについての語り方はなかなか面白いと思いますよ!

本文はここまでです。