フェノメノ
論理の彼岸で
レビュアー:6rin
この物語は心霊現象に興味がある大学生・山田凪人が怪異に遭遇するホラーである。
理解を超えた現象に人は恐怖を感じる。凪人が出会う怪異もまた常人の理解を超えている。そこには恐ろしい幽霊や亡霊の類が潜んでいる。だが、凪人には怪異の脅威から救ってくれる人たちがいる。凪人がオフ会に度々参加しているオカルトサイト「異界ヶ淵」の管理人・クリシュナや、「異界ヶ淵」に出入りする夜石といった面々である。
彼女たちが怪異を調査、分析し、怪異の原因や対処法を解き明かす。ロジックに回収された怪異には依然として恐怖は残るが、その神秘性は薄まる。そう、この物語において神秘性が強調されるのは怪異ではなく、別にあるのだ。
凪人は怖いものを見たい、知りたい、という感情に身を任せ、危険があるのを知りつつ怪異の領域に踏み込む。怖いもの見たさは理屈を超えて、人を突き動かすのだ。しかし、理屈を超えるのは、怖いもの見たさだけではない。可哀そうな少年の思いが綴られた、呪われたノートを処分しなくてはならない場面で、少年の思いを見捨てられない凪人は処分を拒む。夜石は、対処する方法を持たずに呪われたノートを所持する凪人の、論理性を欠いた判断に惹かれる。人の心には、ロジックを超えた底知れなさ、神秘性があり、それが魅力的なのだ。
人間の心こそ怪異より神秘的である。この視座に立って、物語が書かれている。では、この物語が怖くないのか、神秘性の薄まった怪異が怖くないのかと言えば、そんなことはない。圧倒的に怖い。先を読むのが憚れるくらいに怖い。物語と同じことがこの身に降りかかったら、僕はショック死すると思う。
それでも怖いもの見たさから、僕はネットに公開されている分を全部、読み切ってしまった。
だが、後悔はしていない。怖いもの見たさが満たされたから。怖い、以上に面白かったから!
最前線で『フェノメノ』を読む
理解を超えた現象に人は恐怖を感じる。凪人が出会う怪異もまた常人の理解を超えている。そこには恐ろしい幽霊や亡霊の類が潜んでいる。だが、凪人には怪異の脅威から救ってくれる人たちがいる。凪人がオフ会に度々参加しているオカルトサイト「異界ヶ淵」の管理人・クリシュナや、「異界ヶ淵」に出入りする夜石といった面々である。
彼女たちが怪異を調査、分析し、怪異の原因や対処法を解き明かす。ロジックに回収された怪異には依然として恐怖は残るが、その神秘性は薄まる。そう、この物語において神秘性が強調されるのは怪異ではなく、別にあるのだ。
凪人は怖いものを見たい、知りたい、という感情に身を任せ、危険があるのを知りつつ怪異の領域に踏み込む。怖いもの見たさは理屈を超えて、人を突き動かすのだ。しかし、理屈を超えるのは、怖いもの見たさだけではない。可哀そうな少年の思いが綴られた、呪われたノートを処分しなくてはならない場面で、少年の思いを見捨てられない凪人は処分を拒む。夜石は、対処する方法を持たずに呪われたノートを所持する凪人の、論理性を欠いた判断に惹かれる。人の心には、ロジックを超えた底知れなさ、神秘性があり、それが魅力的なのだ。
人間の心こそ怪異より神秘的である。この視座に立って、物語が書かれている。では、この物語が怖くないのか、神秘性の薄まった怪異が怖くないのかと言えば、そんなことはない。圧倒的に怖い。先を読むのが憚れるくらいに怖い。物語と同じことがこの身に降りかかったら、僕はショック死すると思う。
それでも怖いもの見たさから、僕はネットに公開されている分を全部、読み切ってしまった。
だが、後悔はしていない。怖いもの見たさが満たされたから。怖い、以上に面白かったから!
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