虚淵玄『Fate/Zero』
貴方が私に残した 固くもろい絆
レビュアー:ラム、ユキムラ
ライダー陣営の二人の関係を一言であらわすは困難だ。
本来ならばマスターとサーヴァントという 主従であるはずの二人。
ところが、過去に王であったイスカンダルはただの従者におさまりきらず、しかし王のわりにフレンドリーで、ウェイバーにとって、時に先達 時に悪友 時に父親 時に朋友…と、見守る者に与える印象を千変万化させる。
やがては征服王イスカンダルとその臣下として別れるこの二人。
会話がちっとも噛み合ってないときもあったけれど、それでも彼らは間違いようもなく隣り合い共に生きていた。
―― 貴方の中で育んでた 流れる赤の力強さ
―― 寒いあの朝の日を越えて からみついてく運命
柴咲コウは謳う。『冬空』という曲で。
「貴方が私に~」と、既に失われた相手との絆について歌い、結びでは運命だったととらわれたまま。
ウェイバーは最後、主従としてイスカンダルと袂を分かつ。
ライダーのマスターであったウェイバーが、イスカンダルの臣下であることを選んだとき。
少年は、自分の未来を聖杯戦争に賭することをやめ、主君の為に未来を求めた。
この主従の逆転は、人として王としてのイスカンダルに感化されたウェイバーの運命を変える選択。
イスカンダルから学んだ生き様は、彼亡き後も良きにせよ悪きにせよ呪縛としてウェイバーの裡から消え去らない。
まるでその出逢いこそ【運命】であったと決定付けんばかりに、克明にウェイバーの生き方を揺るがしてゆくのだ。
朝霜に濡れそぼった蕾が、やがて大花を咲かせるように。
膨らみ そして咲き誇らんばかりの溢れる信頼が二人の間にはあざやかに存在する。
ウェイバーはイスカンダルと共に死路に赴くことも、復讐を果たすこともしない。
されどイスカンダルの下命に従い、彼が貫いた信念を守り抜くのだ。自らの運命を賭して。
それは、きっと。
何よりも、ずっと、強固な...
最前線で『Fate/Zero』を読む
本来ならばマスターとサーヴァントという 主従であるはずの二人。
ところが、過去に王であったイスカンダルはただの従者におさまりきらず、しかし王のわりにフレンドリーで、ウェイバーにとって、時に先達 時に悪友 時に父親 時に朋友…と、見守る者に与える印象を千変万化させる。
やがては征服王イスカンダルとその臣下として別れるこの二人。
会話がちっとも噛み合ってないときもあったけれど、それでも彼らは間違いようもなく隣り合い共に生きていた。
―― 貴方の中で育んでた 流れる赤の力強さ
―― 寒いあの朝の日を越えて からみついてく運命
柴咲コウは謳う。『冬空』という曲で。
「貴方が私に~」と、既に失われた相手との絆について歌い、結びでは運命だったととらわれたまま。
ウェイバーは最後、主従としてイスカンダルと袂を分かつ。
ライダーのマスターであったウェイバーが、イスカンダルの臣下であることを選んだとき。
少年は、自分の未来を聖杯戦争に賭することをやめ、主君の為に未来を求めた。
この主従の逆転は、人として王としてのイスカンダルに感化されたウェイバーの運命を変える選択。
イスカンダルから学んだ生き様は、彼亡き後も良きにせよ悪きにせよ呪縛としてウェイバーの裡から消え去らない。
まるでその出逢いこそ【運命】であったと決定付けんばかりに、克明にウェイバーの生き方を揺るがしてゆくのだ。
朝霜に濡れそぼった蕾が、やがて大花を咲かせるように。
膨らみ そして咲き誇らんばかりの溢れる信頼が二人の間にはあざやかに存在する。
ウェイバーはイスカンダルと共に死路に赴くことも、復讐を果たすこともしない。
されどイスカンダルの下命に従い、彼が貫いた信念を守り抜くのだ。自らの運命を賭して。
それは、きっと。
何よりも、ずっと、強固な...
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