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読者レビュー

銅

幸福論 西川聖蘭第一作品集

ただ戦慄してしまいました。

レビュアー:ゲッテル Novice

大塚英志氏の「ただ戦慄すればいい。」の帯通りに戦慄した。漫画はカラーページを除けば、色の付いているページは無い。それは当たり前なのだが、この作品程、”黒”しか似合うもののない作品は久しぶりだった。表題作の『幸福論』。唯、ただ黒い。笑みさえ黒い。誰しも持っているであろう負の部分を隠さない主人公・れおなの最後の笑顔は心からのモノだったのだろうだと思うのだが、正直とても同調出来るものではなかった。悪趣味なネット動画などで興奮を覚える辺りが、現代の世相を反映していて心底恐ろしい。自分もこの世界で生きているのだと思うと、本当に戦慄する。見たくはないが、目を背け続ける事もしてはいけないのではないかと強く感じさせられた。作者の方には、もっとリアルで尚且つ人間を抉る作品を描き続けてもらいたいと思った。

2012.04.02

のぞみ
強く感じるものがあったのですね!
さやわか
書き手が受けた衝撃が生々しく書いてあって、こういうレビューはなかなか好きです。
のぞみ
確かにこの作品、“黒”が印象的な感じがしますわ~。
さやわか
「カラーではなく白黒」という、色としての「黒」として語られ始めつつ、いつの間にか「笑みさえ黒い」というように邪悪さや歪みを指す言葉としての「黒」の話になっているのがポイントですな。この二つの意味の対比はもうちょっと強調して書いたほうが効果的だと思います。書いていることの意味はむろんわかるのですが、レビューというのは読んだ人に「なるほど、うまいこと言う」と思わせねばならないので、レビューの上でもしっかり衝撃を与えてあげましょうぞ。そしてラストでもう一度「黒」に一言だけ言及すれば構成としては完璧かなと思いますが、まあそれはキメすぎかもしれませんな。今回は「銅」にいたします!

本文はここまでです。