iKILL2.0
ページの中から語りかける声
レビュアー:zonby
声が、聴こえると思った。
実際に耳に届く訳ではない。
読んだ文章が脳内で響き、呼応するように内側から声がする、と思った。
その声は問う。
それは牽制するようにも、誘うようにも聴こえる。
「次のページを読むか?読まないか?」
その声を打ち消すように、私は次々とページをめくることを選択し続ける。
まるでその声を無視しようかとするように。
まるで、先急ぐように。
前作の「iKILL」を読んでいたので、その内容が一筋縄ではいかないこと。おそらく目を背けたくなるような残酷な描写がされることは、ある程度予測がついていた。
しかし私は一ページ目の見開きで、早くも出鼻をくじかれることとなる。
文字は横書きで、左は誰かの告白文から始まる。そして右ページにはこんな文字。
*このメールは全自動でお届けしています
*ご興味があれば、ページを送って、読み続けて下さい
*あなたが読み続ける限り、配信は続きます。
*ご興味がなければ、読むことを中断するのも、それはあなたの自由です。
私はこれらの文章が、メールに送られているという設定で書かれていることを理解する。
ああ、そういう世界観なのか。そういう約束なのか。
この四つの*の意味を、私はその程度にしか受け取らず、「読む」ことを選択して次のページをめくった。めくってしまったのだ。
―――やがて私は、「iKILL 2.0」を読み終える。
「iKILL 2.0」を読む前の私とは、微妙に意識の変化した私だけがそこに残る。
読む前の私には戻れない。
声はもう、聞こえない。
読み終えた私は、考える。
この物語を、"読まない勇気"がある人間がいるだろうか。
読み続ける限り、終着点まで止まらない残酷な配信を、途中でなかったことにできる人間がいるだろうか。
読み終わって尚、読む前と一ミリたりとも変わらずにいられる人間が、いるのかどうか、と。
「次のページを読むか?読まないか?」
この声、聴こえますか?
実際に耳に届く訳ではない。
読んだ文章が脳内で響き、呼応するように内側から声がする、と思った。
その声は問う。
それは牽制するようにも、誘うようにも聴こえる。
「次のページを読むか?読まないか?」
その声を打ち消すように、私は次々とページをめくることを選択し続ける。
まるでその声を無視しようかとするように。
まるで、先急ぐように。
前作の「iKILL」を読んでいたので、その内容が一筋縄ではいかないこと。おそらく目を背けたくなるような残酷な描写がされることは、ある程度予測がついていた。
しかし私は一ページ目の見開きで、早くも出鼻をくじかれることとなる。
文字は横書きで、左は誰かの告白文から始まる。そして右ページにはこんな文字。
*このメールは全自動でお届けしています
*ご興味があれば、ページを送って、読み続けて下さい
*あなたが読み続ける限り、配信は続きます。
*ご興味がなければ、読むことを中断するのも、それはあなたの自由です。
私はこれらの文章が、メールに送られているという設定で書かれていることを理解する。
ああ、そういう世界観なのか。そういう約束なのか。
この四つの*の意味を、私はその程度にしか受け取らず、「読む」ことを選択して次のページをめくった。めくってしまったのだ。
―――やがて私は、「iKILL 2.0」を読み終える。
「iKILL 2.0」を読む前の私とは、微妙に意識の変化した私だけがそこに残る。
読む前の私には戻れない。
声はもう、聞こえない。
読み終えた私は、考える。
この物語を、"読まない勇気"がある人間がいるだろうか。
読み続ける限り、終着点まで止まらない残酷な配信を、途中でなかったことにできる人間がいるだろうか。
読み終わって尚、読む前と一ミリたりとも変わらずにいられる人間が、いるのかどうか、と。
「次のページを読むか?読まないか?」
この声、聴こえますか?