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読者レビュー

銀

傷が奏でる音楽

レビュアー:6rin Novice

音楽に痺れた。
奏でるのは入山君だ。
彼は魂が他人と入れ替わった女の子に恋をする。
魂が好きな自分/身体が好きな自分、どっちが本当の自分だ? と悩む。
自己像が複数に切断され、無理に圧縮され、一つに繋がるのだ。
素材を切り刻み再構成する音楽「ブレイクコア」のように。
二つの自分。
その繋ぎ目の傷に耐え、懸命に生きる彼の姿が胸を打つ。

「成功する自分/失敗する自分」を受け入れ、成否が見えない作家の道を選んだ新人作家の勇敢な「ブレイクコア」も本作から聴こえる。
彼らの音楽を聴いて欲しい。
素敵な音楽を奏でたくなるから。

2011.08.04

のぞみ
詩を読んでるみたいでした! このレビューで一つの作品ですね!
さやわか
これはいいですね。詩的な書き方が面白いし、後半で作品の内容と作家自身の姿を重ねているのがかなり素晴らしい。こういうレビューの書き方というのはありえるはずなのですが、レビュアー騎士団ではあまり見ないものです。よいです。ましてこれは「星海社FICTIONS新人賞受賞」ということを、ただのキャッチコピーではなく作品に照らし合わせて書いているのがよい。文体ゆえに読み手を選ぶところがあるレビューなのですが、書き方以前に「うまい読み方」のできる書き手だと思いました。僕はそのことを高く評価したい。なので「銀」を進呈したいと思います!

本文はここまでです。