第2回星海社FICTIONS新人賞 編集者座談会
マゾヒスティック新人賞
レビュアー:mizunotori
星海社の未来は暗い。
次代を担う優秀な新人作家が今後は現れないかもしれない。
星海社のアシスタントエディターである山中先生は、期待の星と目された投稿者に対して以下のような苦言を呈している。
「前回の座談会で他の作品について僕たちが言った意見もぜんぶ採り入れようとしてる」
それが故に今回は受賞作が無いのだ――と。
投稿者たちが「座談会の意見を取り入れよう」とする気持ちは、私にも分かる気がしている。もちろんのこと、彼らとて万夫不当の投稿者のはずである。編集者の意見を鵜呑みにすれば受賞できるだろうといった、どろ甘い考えの持ち主であるはずがない。では、どうしてそのようになってしまったのか。
座談会が面白すぎるからである。
底知れぬ才気迸る山中先生。
建築系比喩をドヤ顔で言い放つ岡村氏。
地味にフォローに回っている気がする柿内氏。
励ましの言葉の中に強烈な一撃を混ぜてくる太田副社長。
そして、歴史物に冷徹なまでのこだわりを見せつつも、ふとした折に優しさを滲ませる平林氏。
業界でも指折りに優秀な、そして個性的な編集者たちが、未熟な投稿作を片端から撫で斬りにしていくのである。痛快に思わない人間がいるだろうか。
このような座談会を読んでしまえば、さしもの投稿者たちもその影響を受けざるを得ないであろう。 あるいは既に、「新人賞を受賞したい」と願う投稿者よりも、「座談会で扱き下ろされたい」と望む投稿者のほうが多いのではあるまいか……? そのような邪推を抱いてしまうほどに、座談会メンバーが投稿者たちを“食ってしまっている”ことは明らかである。
星海社の未来を憂うならば、この座談会はやめたほうがいいのではないか。
そのような思いがふと胸を過る。
しかし同時に読者としての私が叫ぶのである。
やめてもらっては困る! この座談会をもっと見ていたい!
……と、いかにも葛藤しているような感じであるが、よくよく考えれば新人作家が出てこないで困るのは私ではない。一読者としてはこの素晴らしい座談会をできるかぎり長く続けていただきたい次第である。
次代を担う優秀な新人作家が今後は現れないかもしれない。
星海社のアシスタントエディターである山中先生は、期待の星と目された投稿者に対して以下のような苦言を呈している。
「前回の座談会で他の作品について僕たちが言った意見もぜんぶ採り入れようとしてる」
それが故に今回は受賞作が無いのだ――と。
投稿者たちが「座談会の意見を取り入れよう」とする気持ちは、私にも分かる気がしている。もちろんのこと、彼らとて万夫不当の投稿者のはずである。編集者の意見を鵜呑みにすれば受賞できるだろうといった、どろ甘い考えの持ち主であるはずがない。では、どうしてそのようになってしまったのか。
座談会が面白すぎるからである。
底知れぬ才気迸る山中先生。
建築系比喩をドヤ顔で言い放つ岡村氏。
地味にフォローに回っている気がする柿内氏。
励ましの言葉の中に強烈な一撃を混ぜてくる太田副社長。
そして、歴史物に冷徹なまでのこだわりを見せつつも、ふとした折に優しさを滲ませる平林氏。
業界でも指折りに優秀な、そして個性的な編集者たちが、未熟な投稿作を片端から撫で斬りにしていくのである。痛快に思わない人間がいるだろうか。
このような座談会を読んでしまえば、さしもの投稿者たちもその影響を受けざるを得ないであろう。 あるいは既に、「新人賞を受賞したい」と願う投稿者よりも、「座談会で扱き下ろされたい」と望む投稿者のほうが多いのではあるまいか……? そのような邪推を抱いてしまうほどに、座談会メンバーが投稿者たちを“食ってしまっている”ことは明らかである。
星海社の未来を憂うならば、この座談会はやめたほうがいいのではないか。
そのような思いがふと胸を過る。
しかし同時に読者としての私が叫ぶのである。
やめてもらっては困る! この座談会をもっと見ていたい!
……と、いかにも葛藤しているような感じであるが、よくよく考えれば新人作家が出てこないで困るのは私ではない。一読者としてはこの素晴らしい座談会をできるかぎり長く続けていただきたい次第である。