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読者レビュー

銅

星海大戦

青二才上等!

レビュアー:大和 Novice

 星海大戦の主人公たちは、シンプルな行動原理で動いている。

 九重有嗣はただ自分が自分であり続けるため、武人として武威を轟かせようとする。
 クラウディオはルメルシェに対する過剰な対抗心をひたすら燃やし続ける。
 ルメルシェは自身の限界を追い求め、戦場に身を置かんとする。

 彼らの行動原理はシンプルで純粋で、見ようによっては青臭くて、どこか幼い。
 だからこそ、真っすぐで力強い。

 彼らの生き方はあまりにも無鉄砲で、とても真似できるものではない。きっとそれは、時代の中でも圧倒的に突出した才能を持っているからこそ貫き通せる生き方なのだ。

 それでいて、彼らは人間らしい弱さも持っている。それは彼らが天才という、僕らとはまるで別の生き物みたいでありながら、しかし確かに僕らと同じ人間であるという証だ。彼らは当たり前のように天才でありながら、当たり前のように人間なのだ。

 僕はそんな彼らに憧れずにはいられない。僕は傷つくのが怖い人間だ。彼らほど無鉄砲に生きることはできない。でも彼らの生き様は勇気をくれる。飛びぬけた天才として遥か遠くを突き進むようでありながら、ふとした瞬間に見せる人間らしい弱さが、僕と彼らを繋ぎとめてくれる。その繋がりによって、僕は彼らに引っ張られ、僕だけではとても辿りつけないような遠い遠いところに連れていかれてしまうのだ。

 作中では「青二才」という言葉が頻出する。それは主人公達のような超能力者――グリーンホーンと呼ばれる人々がしばしば持ち合わせる、未熟な心性を揶揄しての言葉だ。だがかつて、グリーンホーンたちはその侮蔑が込められた言葉を称賛に読み替え、「青二才上等」というスローガンを掲げてみせた。そして今、主人公たちは、誰よりも青二才たらんとするようなシンプルで青臭い生き方でもって、その名を時代に刻み込もうとしている。そんな彼らを僕は心から応援する。そして活躍を期待する。だから僕も、声高々に叫びたい。青二才上等!

2011.06.01

のぞみ
タイトルと最後の一文が力強いですね!
さやわか
先ほど「鉄」とした大和さんですが、姫の言葉からもわかりますようにやはり冒頭と結末に強い印象があるようですね。大和さんは他のレビューも送ってくださいましたが、「途中から、わかんなくなってしまいましたわ(´;ω;`)」と姫に言われるものがありつつも、冒頭と結末の印象だけは一致した分かりやすさがあるようです。
のぞみ
このレビューからは、キャラクターと自分の似てるとこ、かけ離れてるとこ、憧れるところ、様々な気持ちが伝わってきました。
さやわか
そう、このレビューはあくまでもキャラクターへの気持ちを語っているように見えますが、そこがいい。「銅」といたします! 欲を言うならば「ふとした瞬間に見せる人間らしい弱さが、僕と彼らを繋ぎとめてくれる。その繋がりによって、僕は彼らに引っ張られ、僕だけではとても辿りつけないような遠い遠いところに連れていかれてしまう」という部分はなかなか面白い言い回しになっていますので、ここにもう少しボリュームを持たせてもよかったかなとも思いますなー。

本文はここまでです。