星海大戦(第一巻)
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レビュアー:azumaakira
本を買えば、まぁ兎にも角にもページを開き、本文を読もうとするのが定石ではあろう。がしかし、本文よりも先に目にする文章が無いわけではない。
その文章とは要するに推薦文、あらすじ、キャッチコピーといったものだが、この星海大戦の第一巻のキャッチコピーはこのようになっている。
「男と男と男の誇りと天才が、星の海を舞台にぶつかり合う!!」
それを見ればこのように思うであろう。
つまりは3人の天才が出てくるのだな。主人公はその中の一人か、はたまた全員か。まぁその辺りは読めばわかるさ。
そしてページを開く。すると序章ではキャラクターの説明ではなく世界設定が語られる。暦が統一された世界……なるほどなるほど。契機となった事件があるのか。
当時の常識を破り、火星のテラフォーミングを行った組織
発達した医療技術を使用して「遠くへ」行ってしまった探検家
ニュートンの三法則を無視した力場の発見
で、その後、戦争になって暦が統一された時代は終わると。
そして、一章に入るとまず一人目の天才、九重が出てくる。最後には残りの二人、クラウディオとマクシミリアンが出てくる。3人の天才だから、それぞれ独立している勢力なのかと思ったら、一対二なのか、どうなるやら。
そして中盤の主人公の説明を越え、一巻のクライマックスである戦闘へと場面が移る。
ここに至って、それぞれの天才の性質が掴めてくる。
九重は、既存のルールを壊そうとするもの
マクシミリアンは、ルールの中で、自分の限界を探すもの
クラウディオは、ルールを認めながら、それから自由であろうとするもの
そして、この戦闘の結末は、それぞれの現状を示す形で閉じられる。九重はある程度までルールを壊してみせ、マクシミリアンはその場の状況の中で最善の働きをし、クラウディオは自由に振舞うために奔走する。
おそらく、まだ完成されていない天才なのであろうし、クラウディオとマクシミリアンは《連星》と呼ばれることが既に提示してある。長いかもしれないけど先が楽しみだな。
と、そんなことを思い、転章の新キャラにワクワクしながら本を閉じる。
と、そこで思う。何かがひっかかる。何かがわからないので、とりあえず最初の方のページをペラペラめくる。そして気付く。
「あれ、暦が統一された契機になった事件って3つなのか」
そしてよくよく考えてみる。すると、この3つと、3人の天才が、重なって見えてくる。
九重は火星のテラフォーミングを行った組織に
マクシミリアンは「遠くへ」行ってしまった探検家に
クラウディオはニュートンの三法則を無視した力場に
ここまできて、やっとわかる。3人の天才は、暦が統一される契機となった出来事と重ねられている、と。
気付いた瞬間、重要に思われる部分を探し出して、もう一度読み直してみる。序章のラスト二行が意味深なものに見える、マクシミリアンが繰り返す「どこまでいける?」が存在感を増している、クラウディオが緩衝体と仲が良いような描写が急に重要なものに見えてくる……
読み直しが終わってみると、さっきよりもずっと、次を楽しみにしている自分がいた。
もしかしたら、これは歴史を繰り返すだけの話なのかもしれない。暦が再び統一されるまでの歴史を綴るだけの話なのかもしれない。が、仮にそうだったとしても、3人の天才が進む過程を見られるだけで面白いと思えるだろうし、そもそも、そんなことにはならないであろうと信じてさえいる。その確信は、あとがきで作者が語る、「新しい歴史を始めます」という言葉にあるのかもしれない。
が、多分それだけではないのだろう。私は、九重が歴史というルールすら破ってくれることを、マクシミリアンがどこまでも行ってくれることを、クラウディオが何からも自由に振舞ってくれることを期待しているのだ。
とりあえず、始まった物語の主役たちに、期待を込めた最大の拍手を。
その文章とは要するに推薦文、あらすじ、キャッチコピーといったものだが、この星海大戦の第一巻のキャッチコピーはこのようになっている。
「男と男と男の誇りと天才が、星の海を舞台にぶつかり合う!!」
それを見ればこのように思うであろう。
つまりは3人の天才が出てくるのだな。主人公はその中の一人か、はたまた全員か。まぁその辺りは読めばわかるさ。
そしてページを開く。すると序章ではキャラクターの説明ではなく世界設定が語られる。暦が統一された世界……なるほどなるほど。契機となった事件があるのか。
当時の常識を破り、火星のテラフォーミングを行った組織
発達した医療技術を使用して「遠くへ」行ってしまった探検家
ニュートンの三法則を無視した力場の発見
で、その後、戦争になって暦が統一された時代は終わると。
そして、一章に入るとまず一人目の天才、九重が出てくる。最後には残りの二人、クラウディオとマクシミリアンが出てくる。3人の天才だから、それぞれ独立している勢力なのかと思ったら、一対二なのか、どうなるやら。
そして中盤の主人公の説明を越え、一巻のクライマックスである戦闘へと場面が移る。
ここに至って、それぞれの天才の性質が掴めてくる。
九重は、既存のルールを壊そうとするもの
マクシミリアンは、ルールの中で、自分の限界を探すもの
クラウディオは、ルールを認めながら、それから自由であろうとするもの
そして、この戦闘の結末は、それぞれの現状を示す形で閉じられる。九重はある程度までルールを壊してみせ、マクシミリアンはその場の状況の中で最善の働きをし、クラウディオは自由に振舞うために奔走する。
おそらく、まだ完成されていない天才なのであろうし、クラウディオとマクシミリアンは《連星》と呼ばれることが既に提示してある。長いかもしれないけど先が楽しみだな。
と、そんなことを思い、転章の新キャラにワクワクしながら本を閉じる。
と、そこで思う。何かがひっかかる。何かがわからないので、とりあえず最初の方のページをペラペラめくる。そして気付く。
「あれ、暦が統一された契機になった事件って3つなのか」
そしてよくよく考えてみる。すると、この3つと、3人の天才が、重なって見えてくる。
九重は火星のテラフォーミングを行った組織に
マクシミリアンは「遠くへ」行ってしまった探検家に
クラウディオはニュートンの三法則を無視した力場に
ここまできて、やっとわかる。3人の天才は、暦が統一される契機となった出来事と重ねられている、と。
気付いた瞬間、重要に思われる部分を探し出して、もう一度読み直してみる。序章のラスト二行が意味深なものに見える、マクシミリアンが繰り返す「どこまでいける?」が存在感を増している、クラウディオが緩衝体と仲が良いような描写が急に重要なものに見えてくる……
読み直しが終わってみると、さっきよりもずっと、次を楽しみにしている自分がいた。
もしかしたら、これは歴史を繰り返すだけの話なのかもしれない。暦が再び統一されるまでの歴史を綴るだけの話なのかもしれない。が、仮にそうだったとしても、3人の天才が進む過程を見られるだけで面白いと思えるだろうし、そもそも、そんなことにはならないであろうと信じてさえいる。その確信は、あとがきで作者が語る、「新しい歴史を始めます」という言葉にあるのかもしれない。
が、多分それだけではないのだろう。私は、九重が歴史というルールすら破ってくれることを、マクシミリアンがどこまでも行ってくれることを、クラウディオが何からも自由に振舞ってくれることを期待しているのだ。
とりあえず、始まった物語の主役たちに、期待を込めた最大の拍手を。