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読者レビュー

銅

サクラコ・アトミカ

原子のサクラコは本の枠をも超えて

レビュアー:zonby Adept

自分が物語の単なる読者でしかないことが、こんなにもどかしいと感じたのは久しぶりの読書だった。
文字の間を天衣無縫に駆け回る量子的美少女サクラコ。そんなサクラコに振り回されながらも少しずつ心の解けてゆくナギ。真剣にかわされるふざけた会話。ささやかな逃避と約束。そして避けられない闘いと結末。
私はただ夢中でページを繰り、物語を見届けることしかできなかった。
だというのに。
物語に干渉できないただの読者でしかない私に、しかしサクラコは干渉してくる。

「祈れ。命に不可能などない」
と。

ずるいぞ、サクラコ。

2011.04.28

のぞみ
「ずるいぞ、サクラコ。」に色んな思いが詰まってる! そんな気がしました。そんな一文が好き~。
さやわか
たしかにオチの一言として、いいですな。美しい。全体としても書き手が作品に感動したことが伝わってくると思います。「銅」を贈りたい。ただ前半部分のスムーズな解説と、後半の美しいオチの一言に至るまでの接続があまり良くないと思います。具体的には自分が「物語に干渉できない」という話が、やや唐突に出てきてしまっている。たぶんですが、このレビューは前半と後半を分けて考えてしまってるのではないですかな。短い字数で解説もしなければならないし、カッコいい一言でオチも入れたい。もしくは、文章を終わらせるにはこういう一言で余韻を残さなければ、という自分なりのスタイルなのかもしれません。その姿勢を貫こうとした結果、前半と後半のつながりの唐突さが目立ってしまったのでは。

本文はここまでです。