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レビュアー「4406」のレビュー

銅

サクラコ・アトミカ

命の輝きに瞠目する

レビュアー:4406 Novice

「煤けた闇夜に花開いたバケモノと姫君の異世界譚は、闘う BOY MEETS GIRL の最先端(ニュー・フロンティア)。

炎でも灼きつくせない絆で結ばれた二人のシンクロ率はシンジ&アスカを超えたのか!?

ソースケ&カナメより強いのか!?

のび太&しずかちゃんとは較べらんないだろ!!

とにかく。
運命の出会いを果たしたナギとサクラコの命の輝きを見よ。
こころの在り方を知れ。

きっと二人ならナウシカの切り拓いた地平を越えて行く。
その翼で風を切って…。」


…と、応募に間に合いませんでしたが短文サイズにまとめてみました。

他書の話になりますが、本書を読みながらついつい思い返してしまった『風の谷のナウシカ』全七巻について…。

アニメ映画で主人公ナウシカが小気味よく空を飛び回るのは原作のマンガ本ではほんの序盤のお話し。

終盤は争いに巻き込まれて望まない殺戮に身を投じ、かつて滅んだ科学文明の遺産と対峙して世界と命の秘密に迫ります。

世界の命運を託されたナウシカは、凄惨な戦いの中で多くのものを失いながらも思いを果たしますが、物語は人々の輪と金色の光に包まれたナウシカのその後を語らないまま幕を閉じます。

一読者の私にはマンガの読後から何年ももやもやしたものが残って消えませんでした。
物語が終わりナウシカの憂いは晴れたのだろうか、前のように屈託なく笑うようになったのだろうか…と。

今、本書を読み終えてその積年のもやもやの上を軽々と飛び越えていく者があります。

ナウシカの見上げる空をナギがサクラコを抱いて飛んでいくのです。
「アホー、アホー」とサクラコの声が聞こえてきて、私の中のナウシカが思わず笑みをこぼします。

大作の描かれなかったその後と本書が交錯した瞬間でした。

この邂逅のために作者はナギに翼を、サクラコに軽口を与えたのかしら…と。

青き衣の者に笑顔を持たらしたのは姫君と黒き軍服の者だった…という勝手な脳内リンクのお話しになってしまいましたが、私にとって本書はその世界観・スピード感で大作に比肩し、補完までしてのけた快作です。

作者さま、出版社さま、良書をありがとう。

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2011.06.01


本文はここまでです。