「遙か凍土のカナン2 旅の仲間」
僕のオススメは二つ角の姫君”ことジニたん!
レビュアー:オペラに吠えろ。
「旅の仲間」という副題から、「指輪物語」(もしくは「指輪物語」を原作にした映画「ロード・オブ・ザ・リング」)を連想する人は決して僕だけではないと思う。そして作者の芝村裕吏は、そうした期待に見事に応えてくれる。言ってしまえば、“ザ・「指輪物語」”とでもいうべき、仲間集めのストーリーが、本書「遙か凍土のカナン2 旅の仲間」では展開されるのだ。
本書は日露戦戦争直後のユーラシア大陸を舞台に、元帝国軍人の新田良造と可憐なコサックの公女オレーナが極東の地にコサック国家を建設しようと奮闘するさまを描いた「遙か凍土のカナン」シリーズ第2巻で、あとがきによると、良造がオレーナを母国につれて帰るまでを追った「帰国編」3部作の第2部にあたる。
冒頭で「指輪物語」に言及した通り、本書では良造とオレーナの“旅の仲間”となるキャラクターが2人、登場する。一人は元英国騎兵隊のグレン(実はユダヤ人)で、もう一人は“二つ角の姫君”の異名を取るジニ(実はツンデレで純情←超重要!)だ。グレンもいい味を出しているが、とりわけジニのキャラクターは強烈で、その王道すぎるほどのツンデレぶりは世の男という男をノックアウトするに違いない。
もちろん、メインヒロインたるオレーナの可愛さも本書を語る上では欠かせないのだが、いかんせん、オレーナは良造とは親子を間違えられるほども年が離れているーーつまり、幼すぎるきらいがある。その点、ジニはいい。「少女」「女子」というよりは「女性」というべき年齢であり、「女としては背が高い気がする」という描写があるように長身。別に個人的な好み云々というわけではないが、何とも「大人の女性の魅力」にあふれているではないか! しかもそんな「大人の女性」が良造にあんなことやこんなことを申し出るという神展開。良造がそういった好意にちっともなびかないのは相変わらずだが、うらやましいぞチクショウ……なぜ俺は明治の世に生を享けなかった……。
閑話休題。
上記では本書のキャラクター小説としての側面、つまりはジニの魅力にばかり筆を割いてしまったが、ああ、えっと、もう一人の新キャラクター……グレン? もそれなりにいい味を出していますよ、ええ。とはいえ、まだまだ顔見せといったところで本格的な活躍は次巻以降のお楽しみといったところ。その次巻ではついに「帰国編」が終わり、4巻からは「建国編」が始まるというから、楽しみ楽しみ! まだ巻数の少ない今のうちに本シリーズを手に取ること、そしてリアルタイムで物語の行方を見守ることができるのは、一読者として至上の悦びである。
本書は日露戦戦争直後のユーラシア大陸を舞台に、元帝国軍人の新田良造と可憐なコサックの公女オレーナが極東の地にコサック国家を建設しようと奮闘するさまを描いた「遙か凍土のカナン」シリーズ第2巻で、あとがきによると、良造がオレーナを母国につれて帰るまでを追った「帰国編」3部作の第2部にあたる。
冒頭で「指輪物語」に言及した通り、本書では良造とオレーナの“旅の仲間”となるキャラクターが2人、登場する。一人は元英国騎兵隊のグレン(実はユダヤ人)で、もう一人は“二つ角の姫君”の異名を取るジニ(実はツンデレで純情←超重要!)だ。グレンもいい味を出しているが、とりわけジニのキャラクターは強烈で、その王道すぎるほどのツンデレぶりは世の男という男をノックアウトするに違いない。
もちろん、メインヒロインたるオレーナの可愛さも本書を語る上では欠かせないのだが、いかんせん、オレーナは良造とは親子を間違えられるほども年が離れているーーつまり、幼すぎるきらいがある。その点、ジニはいい。「少女」「女子」というよりは「女性」というべき年齢であり、「女としては背が高い気がする」という描写があるように長身。別に個人的な好み云々というわけではないが、何とも「大人の女性の魅力」にあふれているではないか! しかもそんな「大人の女性」が良造にあんなことやこんなことを申し出るという神展開。良造がそういった好意にちっともなびかないのは相変わらずだが、うらやましいぞチクショウ……なぜ俺は明治の世に生を享けなかった……。
閑話休題。
上記では本書のキャラクター小説としての側面、つまりはジニの魅力にばかり筆を割いてしまったが、ああ、えっと、もう一人の新キャラクター……グレン? もそれなりにいい味を出していますよ、ええ。とはいえ、まだまだ顔見せといったところで本格的な活躍は次巻以降のお楽しみといったところ。その次巻ではついに「帰国編」が終わり、4巻からは「建国編」が始まるというから、楽しみ楽しみ! まだ巻数の少ない今のうちに本シリーズを手に取ること、そしてリアルタイムで物語の行方を見守ることができるのは、一読者として至上の悦びである。