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読者レビュー

銀

「まりんこゆみ2」

海兵隊って……ああ、武田鉄矢の「贈る言葉」ですか? って、それは「海援隊」やろっ!

レビュアー:オペラに吠えろ。 Lord

 日本の女子高生が海兵隊になるまでを描いた「まりんこゆみ2」は、過酷なブートキャンプ(新兵訓練)の様子をユーモアたっぷりにリポートしたコミックだ。元海兵隊員が原案を手がけているだけあって、萌え漫画ふうにしてはあるものの、そのリアリティーは保証されている。

 厳しい上官、ミスったときの連帯責任、過酷な訓練……「海兵隊」というと自分とは縁のないものだと思う人が多いだろうが、学生時代の体育会系の部活と似たようなものだといえば、「ああ、あれか」と頷く人も多いだろう。わたしもその一人だ。

 わたしは学生時代、とある球技スポーツをやっていたのだが、不幸というか幸運というか、部は毎年県のベスト16には進めるくらいの強さであり、練習も全国レベルに比べると劣るとはいえ、まあまあ、きつかった。だから「まりんこゆみ」の中で描かれる訓練の意味や、やがてはぐくまれるチームワークの素晴らしさもよく理解できる。まあ、当時はただただ肉体的・精神的にきつかっただけなのは否定しないが。

 本書は「海兵隊」というのが前面に押し出されているため、ターゲットが非常に絞られている印象があるかもしれない。だが、海兵隊は題材にすぎない。わたしのように、自分の青春時代に重ねた「部活もの」として読むことも十分に可能だろう。そうした意味で、本書はもっと幅広い人に読んでもらうことで、その魅力がより深まるはずだ。

2014.03.27

さくら
過酷なブートキャンプ、実話だからすごいですわ。まりんこゆみの登場キャラクターにスポーツをやらせてみたらいいプレイしそう!
さやわか
姫、まさかのダジャレタイトルをスルー……。それはともかく、特殊なシチュエーションを描いた物語を「部活もの」として再解釈するというアイデアが光っています。レビューとか批評というものの醍醐味は、こうやって読者の思いも寄らなかった発想によって作品に新しい読み方を提示することであり、このレビューはそれをきっちりやれている。しかもそれが、学生時代の部活動という自分の日常的なエピソードに根ざしているのがいい。こういうわかりやすい例を使って書くと、レビューに対する読者の親近感が一気にあがります。ということで「銀」にいたしましたぞ。「部活もの」として読んだ結果、どんなふうに魅力が深まるのか、さらにそこをつっこんで書いていくと「金」になりそうかなと思いましたが、それをこの簡潔さで書くのは至難の業かもしれませんので、僕はこのままでも十分と思いますなー。

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