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読者レビュー

銅

ハミ出す自分を信じよう

荒俣さんの奥さん美人ですよね

レビュアー:ヴィリジアン・ヴィガン Warrior

 著者である山田玲司は、250人を超える才人にインタビューした経験から、「周りに合わせて空気を読んでいるだけではダメだ」と語る。
 エジソン、ダーウィン、黒柳徹子、水木しげる、柳美里。
 成功した人達も、その昔は学校や集団に馴染めず「ハミ出した」存在だったのだと。
 だが、私は読み終えて不安を覚えた。
 世の中に「ハミ出して」いる人は沢山いて、たまたま成功した人達ばかりを例に出されてもなぁ、という不安である。
 学校や社会と馴染めず、自分を信じていたけれど野垂れ死んだ人もうんざりする程存在するに違いないのだ。
 よって、「こんな自分で良いんだ」などとは少しも思えず、むしろ「ハミ出す自分を信じ続ける」ことの難しさが提示されているように感じた。
 だが、「ハミ出す」ことのゴールは成功することではなくて、自分のやりたいことを我がままに、ときに柔軟に対応しながら追及することである。
 自分の得意分野をひたすら掘り下げてゆけば、いつか社会と関わるための貴重な道具になる可能性だってあるだろう。
 楽観は危険だ。そもそも「ハミ出す」ような奴は「続ける」ことが苦手だったりする。
 でも、恐れることなく自分を信じ「続けて」みよう。そうしておけば、例え野垂れ死んだとしても、後悔はしないはずだから。

2014.01.29

さくら
そもそも成功しているハミ出し者は、「ハミ出していいぞ!」言わてハミ出せた訳ではなくて、ハミ出していることを気にしている時点でハミ出してしている人とは…ハミ出…ハミ、ハミ…。考えさせられる問題を提示してくれたレビューであると共に一番レビュータイトルがハミ出してましたわ!
さやわか
そうそう、レビュータイトル気になるよなあ……(笑)。それはともかく、本を読んで思ったことから始まって持論の展開へと接続されていくのはいいと思います。しかもその流れはなかなか論理的で説得力がある。なるほどと思わされます。ちょっと気になったのは、この持論の展開が最終的に本の話から離れたところで着地してしまうことですな。本について書かれた文章なのかと思ったら、どちらかというとこの文章の主題は「ハミ出す」こと自体で、実際に文章はその考察の部分で終わる。冒頭にあった本の話が、まさに「枕」のようにというか、文章のさわりを担うだけになってしているわけで、少し構成としてはいびつな印象です。たぶん、もう少し「作者はこう書いている」→「自分はこう思う」→「しかし作者はこう書いている」→「自分はこう思う」というふうに、作者と自分の考えを交互に対比させるような書き方にした方がバランスがよくなると思いますぞ。ともあれ自説を熱っぽく語るスタイルはよかったです!「銅」にいたしましょう。

本文はここまでです。