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読者レビュー

銅

まりんこゆみ

Once a Marine, Always a Marine.

レビュアー:Panzerkeil Adept

 ノーテンキな日本人の女の子が、アメリゴ(アメリカ)合衆国を旅行中に「私は合衆国大統領になる!」と言ったら、意気投合していた在郷軍人のジーサン連中に「じゃあ永住権を取るには軍隊に入隊するのが1番だ!」とおだてられて、海兵隊に志願するというお話。
 一見すると、いかにも馬鹿マンガ風ですが、馬鹿マンガのテイストは残しつつも、リアルな要素もぶち込んで、合衆国海兵隊を理解できる(たぶん)というユニークな作品です。
 合衆国海兵隊は沖縄にも拠点があり、普天間基地問題等でしばしば話題になりますが、日本人の理解はいまひとつ、という気がします。それは日本の歴史において、陸海空に続く第四の軍隊、海兵隊が存在しなかったという事もあるのではないでしょうか。
 海兵隊の歴史は、作中でも紹介されていますが、軍艦がまだ帆船だった頃にまで遡ります、当時は軍艦同士が接舷して切り込むという戦闘が普通にあったので、陸戦部隊を軍艦に乗せたのがそもそもの始まりです。
 言わば海軍と陸軍の混血ですが、国際法上は海軍と見なされ、自由に海上を移動して世界中に素早く展開できる便利な存在として現在に至っています。
 陸軍では無いが戦車やヘリを持ち、海軍では無いけど軍艦があり、空軍ではないのに戦闘機や爆撃機を保有している何でも屋。
 その迅速な行動力は、東日本大震災の救助活動においても遺憾なく発揮されました。
 かつて、第二次世界大戦で、硫黄島をはじめとする多くの島嶼での戦闘において日本軍を血で血を洗う激しい戦闘を繰り広げたのもこの合衆国海兵隊でした。
 戦争は不幸な事ではありますが、ガチの殴り合いで理解出来る事もあります。
 どちらかと言えば、過剰なまでに日本のマスコミにネガティブな扱いをされていますが、相手の真の姿を知ることは重要でしょう。このマンガはその役に立ちそうです、たぶん。
 ところで、ゆみが合衆国大統領になれるかと言えば、とても厳密な規定があって無理じゃないかという気もしますね。
 昔、あずまんが大王のちよちゃんが大統領になれるか調べたのですが、アメリカ生まれでないアーノルド・シュワルツェネッガーがカルフォルニア州知事にはなれても、大統領にはなれないのと一緒です。それでも、元外国人でも知事にはなれるというのが凄いけど。
 まあ、アメリカではなくアメリゴだという理屈も成り立ちますが。
 そもそも、日本人の女の子がなぜ外国の軍隊に?と思う人も多いと思いますが、徴兵制の無くなった合衆国において、軍隊に志願するのはアメリカ人になりたい外国人と、高等教育のチャンス(奨学金が貰えます)を得たい低所得者層が多くを占めるという現実を考えたら、さほど不自然ではありません。
 もはや、合衆国の平均的な市民にとって、軍隊は平均的な日本人以上に遠い存在になっています。
 まりんこゆみの存在にリアリティがあるというリアルが凄い事ですね。

2013.07.08

さくら
原作者のアナステーシア・モレノさんは元女性海兵隊員なんですよね。主人公のゆみと似ていらっしゃるのでしょうか♪女性隊員とか魅力的すぎますよねっっ、お会いしたいっ。
さやわか
Panzerkeilさんは他のレビューもそうだったのですが、作品自体よりもアメリカ海兵隊についての記述が非常に長いですね。そこには並々ならぬ熱意があるので「銅」ということでいいのだと思いますが、『まりんこゆみ』という作品に対するレビューとしてはちょっと課題の残るところだと思います。特に気になるのは、この作品をレビュアー自身がどう読んだかという部分がかなり少ないことですね。別に褒めたりけなしたりしろというわけではないのですが、単純に事実とおぼしき内容を並べていくスタイルに偏っているので、書き手の気持ちが前に出にくくなっている。そのへんをもう少しぐっと前に出せば、「銀」を狙えるのではないでしょうか!

本文はここまでです。