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読者レビュー

銅

壜詰病院

朗読CDというジャンルはアリか?

レビュアー:レディオ Novice

朗読と聞いてまず思い浮かべるのは朗読少女だろう。
文庫本などの文章を読み上げてくれるものなのだが、
私は本は自分のペースで読みたいと思う人間なので、
過去に使用したことがない。
よくあるドラマCDとは何が違うのだろうか?

朗読ということで当然一人の声優さんによって読み上げられている。
そしてドラマCDとの大きな違いは状況や心境などが詳細に読み上げられることだ。
そう、これは小説なんだと思い知らされる。

そう考えると自分のペースで聴けない朗読CDは正しいメディアなのか?
答えは個人によって異なるかもしれないが私は疑問に感じた。
その理由は私自身この物語を2、3回聴かないと、
話の本筋を理解できなかったからだ。
ここは重要なポイントだと感じている。

やはり目で見て読んで理解するのと、
耳で聴いて理解するのでは結果に違いが生じる。
見間違いや聞き間違いは当然あるのだが、
間違える傾向は目と耳で同じにはならない。
つまり内容の理解も目と耳では違いが出てくるということだ。
その事を内容に盛り込んで作成しなければならない。
ではこの作品ではどうなのか?

登場人物は主人公、先生、赤ん坊、妹、少女二人とあまり多くない。
各話で考えてもメイン3人に+1名以上登場することはない。
時間の制約もあったかもしれないが、
これ以上登場人物や情景があっても理解しづらいと考えたのであれば、
著者はよく解っていると感じる。

あと一つ触れておきたいことは声優さんだ。
私は朗読している古木のぞみさんの事が大好きだ。
この世の中で一番好きな声優さんだと断言できる。
なので朗読を聴いていてもどうしても古木さんのイメージが入ってきてしまう。
これは聴く側として問題はないのだろうか?

例えば有名声優さんが朗読するとその方が演じたキャラクターをイメージする人はいないのだろうか?
よくTwitterで声優さんがナレーションをしているのを聴いて、
声優さんの名前ではなくキャラクター名で引用する人を見かける。
そのキャラクターでナレーションしているわけではないので、
個人的には声優さんに失礼だと感じる時がある。

このように朗読を聴いてもその声優さんのイメージで聴いてしまわないだろうか?
そしてそのイメージで聴いた時に著者の思いは伝わるのだろうか?
ここでは答えを出せないが考える必要があると感じる。

さて結論として朗読CDは成立するか考えてみたい。
私は条件付きでありだと感じている。
やはり文字を読むのが嫌いな人もいるだろうし、
そのような人に文章に触れてもらう機会ができることはいい事だ。

ただし文庫本をそのまま朗読しても、
状況や心境などが複雑に絡み合うような内容だと、
聴いただけでは理解できない恐れがあるので、
そういう形での朗読CDは出さなほうがいい。
あくまで朗読CD用に物語を作成、
もしくは再構築しないと成立しないだろう。

最後にこの物語はとても辛く切ない。
しかし人の因果とはどの様なものなのかが描かれている。
人が生きること、人が死ぬこと、そして人を愛すること。
それが閉塞された先の見えない病院内で繰り広げられる。
少女が何故壜詰を集めるのかを理解した時には涙することでしょう。
ぜひ機会があれば聴いてみて欲しい。

2013.07.08

さくら
朗読CD と言ってもいろんな種類がありますから、きっとレディオさんは自分が読んで、感じたものを大切に育てていきたい人なのかなって思いました。そしてこのレビューで古木ちゃんへの愛、ばっちり伝わりましたよ…っ!
さやわか
古木のぞみさんへの気持ちがストレートに書いてある部分、ここがいい!込み入った言葉ではなく、書き手の感情が素直に伝わってくる。読んでいて感動しますね。素晴らしい。「銅」にさせていただきました。「銀」でないのはなぜかというと、「朗読CDは成立するか」という問題についての話の流れが、やや冗長になってしまっているように感じたからです。おそらく書き手の気持ちの流れどおりに書かれているのですが、特に何行か費やした上に「ここでは答えを出せないが考える必要があると感じる」という部分などは、読者に「え、特にこの話、結論はないの?」という印象を与えてしまいかねません。ここはやはり話題を絞って、全体の構成を考えつつ書くのがいいかと思います。そこはやはり、このレビューの一番優れた点であった、古木のぞみさんへの気持ちを中心に書いていくのがいいかなと思いますぞ。

本文はここまでです。