マフィアとルアー
横顔が語ること
レビュアー:つよし
作品全体に含蓄ありげな、鬱屈した雰囲気が漂っている。同時に、淡い希望にも満ちている。作者の実体験がとか、この場面の表情がとかあれこれ考えながら読むのも楽しし、逆に深く考えず、作品の空気に引きずられていくのを楽しむのもよい。
「トリコの娘」
炊飯器と共に男の前に現れた女。男は戸惑う様子もなく彼女を受け入れ、彼女の言動を見透かすような所さえある。
男が感じさせる不気味さから一転、正気に戻っていく彼女を見つめる、諦めたような優しい表情が切ない。彼女との未来があるか知れないのに、その他の未来は切り捨てる覚悟を決めている。彼女との未来を願うことは、彼女のこころの不健康を願うことになる。男の横顔は、そんなこととうに飲み込んでしまったのだろうと感じさせる。
「トリコの娘」
炊飯器と共に男の前に現れた女。男は戸惑う様子もなく彼女を受け入れ、彼女の言動を見透かすような所さえある。
男が感じさせる不気味さから一転、正気に戻っていく彼女を見つめる、諦めたような優しい表情が切ない。彼女との未来があるか知れないのに、その他の未来は切り捨てる覚悟を決めている。彼女との未来を願うことは、彼女のこころの不健康を願うことになる。男の横顔は、そんなこととうに飲み込んでしまったのだろうと感じさせる。