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読者レビュー

銅

青春離婚

終わりと始まりを告げる涙

レビュアー:飛龍とまと Adept

 偶然にも私は良い夫婦の日・11月22日に『青春離婚』小説版本文を読むことが出来た。名字が同じ二人が夫婦としてからかいを受けつつ、それがきっかけになり生まれた「山羊の時間割アプリ」と淡い恋心。ただ「奥さん」の視点で書かれた物語であったためかこれが片思いか両思いかは分からない。二人を繋いでいたはずのアプリにも不穏な影が立ちこめて――しかし物語の終盤、二人の「離婚」をきっかけに明かされた不器用な「旦那さん」の想いは、

 あまりに切なく、それでいて甘酸っぱくて、微笑ましくて、そして過ぎ去っていく青春の風景。良作として、私の記憶にしっかりと痕を残していた。よって、後に発売されたコミック版を購入するのに時間は掛からなかった。
 コミカライズを担当したのは、縦長のコマ割り漫画を描くことで有名なHERO氏。この特徴的なコマ割りが、二人の青春の一頁を印象的に彩っている。そしてコミック版に追加された後日談がまた素晴らしいのだ。是非手に取って、二人の行く末を見守って欲しい。


 スマートフォンの液晶画面。表示された山羊のアプリ。その上に落ちた彼女の涙は、一つの終わりと、大切な始まりを静かに知らせていた。

2013.06.11

さくら
コミカライズの方を読ませて頂いたのですが、コマ割り縦だとweb上で読みやすいなって発見しました! Web媒体に強い作家さんなのですかね?
さやわか
小説のよさに加えてコミカライズの特徴にもきちんと触れられているのは、いいですね。というのもメディアミックス作品の場合、しばしば元になった作品のよさについてばかり触れられてしまって、何についてレビューされているのかわからなくなってしまうのですよ。たとえばアニメを原作とした小説について、アニメの話ばかりしてしまうと、小説のレビューとして成り立っているとは言えないわけですな。このレビューはそういうものではない。ただちょっと文章が整理し切れていないようなのが気になりました。たとえば一行目は「小説版を読むことができた」という、過去の自分の経験を語っています。ところが二行目は「淡い恋心」について、つまり作品のあらすじを説明しているように見える。そして三行目の「「奥さん」の視点で書かれた物語であったためかこれが片思いか両思いかは分からない」というのは、つまり「自分にとって分からなかった」という感想のはずです。ところがこれは現在形で書かれていて、前のあらすじの書き方と時制の上では一致してしまっている。だからこの三行は読みにくくなる。その後もこの文章はあらすじなのか感想なのか、文体も不統一に続いています。そして最後に間投詞的にというかキャッチフレーズのように文章インサートされて結構が付けられますが、これがまたそれまでの文章とトーンが違うわけです。作品に対する真っ直ぐな愛情を感じるレビューです。それだけでこのレビュアー騎士団では「銅」の評価に値するということになります。書き手には十分な文章力があると思うので、ちょっともったいないかな? と思いましたぞ。

本文はここまでです。