ここから本文です。

読者レビュー

銅

『非実在推理少女あーや』第一話「コンダラ殺人事件」

非実在は凄い!

レビュアー:Panzerkeil Adept

この世の中、実在するものよりも、実在しないものの方が興味深い存在なのだそうだ。何故ならば実在するものは、その存在に安住しており発展の余地が無い、一方で実在しないものは、何しろ存在しないのであるから幾らでも風呂敷を広げる事が可能だ、研究対象としてこれほど素晴らしいものはない。以上は、ずっと以前に読んだ、ある東欧SF作家の小説に登場する人物(というかロボットか)の言葉である。
しかし、実在しないものをどうやって研究するのか、まあ、存在確率がゼロで無いならば、現実をねじ曲げて「存在させてしまえ!」というのが結論だったのだけど、まさか、同じロジックをマンガで拝めるとは思いませんでした。更に、昨今、なにかと話題になる「非実在」という言葉をこう使うとは!!しかも、一応ミステリ仕立というところも凄い。
こうしてみると、なんとか禁止法がらみで登場した「非実在青少年」というのも、なかなか味わい深い言葉ですね。そう考えると究極の非実在美少女とか萌えるじゃないか。

2013.06.11

さくら
犯人がわからないなら事実を捻じ曲げて推理をホントにしちゃえばいいじゃない。ハチャメチャ感が愉快ですよね。非実在美少女は秋葉原に生息していそうです。
さやわか
話の枕になっている東欧SFの話も面白いですし、そこから「非実在」の話、そして作品の話へとうまくつないでいくのは見事ですね。レビューとしての長さがこれだけ短いのに、読み応えのあるものになっていると思います。「銀」ではなく「銅」としたのは、もうちょっとだけ「あ~や」がその「非実在」をどのように成り立たせているのかというところに考えを傾けていたらよかったかなと思うからです。たとえばこのレビューを作品を知らない人が読んだとして、どんな内容なのかは今ひとつわからないのではないでしょうか。ただ、この文章自体はうまく成り立っていて、そこがPanzerkeilさんのレビューの面白いところだと思います。これをもう少し作品そのものに寄せると、さらによくなっていくのではないでしょうか!

本文はここまでです。