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読者レビュー

銅

『大日本さむらいがーる劇場』

至道流星ヒロインたちの「かわいさ」

レビュアー:牛島 Adept

 至道流星という小説家がいる。
「一つの作品に世界のすべてをこめる」といった創作のスタンスをデビュー作から続けており、その幅広い知識や経験、そして作中の魅力的なヒロインたちから高い評価を受けている作家だ。

 そう、至道流星が書くヒロインたちはどれも魅力的なのだ。『世界征服』の水之瀬凛。『羽月莉音の帝国』の羽月莉音。『好敵手オンリーワン』の桜月弥生と天都水貴。ここに挙げたのはメインヒロインたちだけだが、この他にも数多くの魅力的なヒロインたちが登場する。
 読者というのは欲深で、魅力的なキャラクターを見ては「もっと活躍してほしい」と思うものだ。間違ってもキャラに頼っただけの小説家ではないが、それでも彼女たちの活躍が作中だけで終わってしまうのは実にもったいないと思わせるだけのヒロインたちを、至道流星はうみだしてきたのだ。

 そこでこの『大日本さむらいがーる劇場』である。
 まず日毬がかわいい。チョロいけどかわいい。いや、チョロいところが最高にかわいい。
 千歳がかわいい。ポンコツだけどかわいい。由佳里がかわいいし凪紗もかわいい。杏奈もかわいい。川村一真氏の描く女の子はかわいい。かわいいしか出てこなくなるぐらいかわいい。

 本編である『大日本サムライガール』を読んで彼女たちに惚れ込んだ読者が毎週木曜日に幸せな気分になるぐらいにはかわいい。

 何度も言うが至道流星のヒロインはかわいい。こうした「ヒロインのかわいさ」に焦点を当てたスピンオフ作品とは相性がよく、今までなかったことが不思議なぐらいである。

 そして、こうしたヒロインのかわいい姿こそ、我々が見たかったものなのだ。

2013.05.29

まいか
確かに。かわいいからヒロインなんですよね! 私もサムライガールをよんだときに幸せになります。
さやわか
ラストの一文が非常によいです。堂々と「ヒロインのかわいい姿こそ、我々が見たかったものなのだ」と言い切る。男らしくてカッコいいです。冗談のようですが、こうやって自らの純粋な、抗いがたい感情と真剣に向き合う態度から批評という試みは始まります。個人的にはその「かわいい」という気持ちが一体何なのかという大問題をどこまでも深く追求し、解体し、何とか言葉にしようと試みてほしいところですが、そうでなくたってこのレビューは輝かしいものです。「銅」とさせていただきました!

本文はここまでです。