渡辺浩弐『死ぬのがこわくなくなる話』
あなたが思い込んでいるだけかもしれない。
レビュアー:USB農民
(高井舞香を支持)
私は小さい頃「人はいつか死ぬのだ。ただし、僕はたぶん死なない」などと思い込んでいた時期があって、実に子供らしい間違いだと今は笑うけれど、当時はけっこう本気でそう考えていたことも事実なのだ。
人の思い込みは、山のように不動で巨大で圧倒的だ。しかも魔力を持った山だ。人はその「思い込みの魔山」を前にして、それを迂回するという発想に気づかない。そのことに不自然さも感じず、それどころか、絶対的な真実であるとさえ感じることもしばしばある。
本書は、著者と「思い込みの魔山」との闘いの足跡である。
「不老不死は本当に不可能なのか?」
この言葉から始まる物語は、その問いの困難さに負けない勢いをもっている。「思い込みの魔山」との無謀に思える闘いは、科学的知識や、自由闊達な思考と語りを武器に、少しずつ前進し、一つずつ「魔」を取り除いて新たな風景を見つけていく。その足跡は、とてもスリリングで面白い。
誰にとっても「思い込みの魔山」は厄介な相手であるが、それを打ち破ることは不可能ではないのだ。
最後に、この文章を読んでいるあなたに問いたい。あなたは、もしかして、「自分はいつか必ず死ぬ」と思い込んではいないだろうか?
そういう人にこそ、私はこの本を強くお勧めしたい。
私は小さい頃「人はいつか死ぬのだ。ただし、僕はたぶん死なない」などと思い込んでいた時期があって、実に子供らしい間違いだと今は笑うけれど、当時はけっこう本気でそう考えていたことも事実なのだ。
人の思い込みは、山のように不動で巨大で圧倒的だ。しかも魔力を持った山だ。人はその「思い込みの魔山」を前にして、それを迂回するという発想に気づかない。そのことに不自然さも感じず、それどころか、絶対的な真実であるとさえ感じることもしばしばある。
本書は、著者と「思い込みの魔山」との闘いの足跡である。
「不老不死は本当に不可能なのか?」
この言葉から始まる物語は、その問いの困難さに負けない勢いをもっている。「思い込みの魔山」との無謀に思える闘いは、科学的知識や、自由闊達な思考と語りを武器に、少しずつ前進し、一つずつ「魔」を取り除いて新たな風景を見つけていく。その足跡は、とてもスリリングで面白い。
誰にとっても「思い込みの魔山」は厄介な相手であるが、それを打ち破ることは不可能ではないのだ。
最後に、この文章を読んでいるあなたに問いたい。あなたは、もしかして、「自分はいつか必ず死ぬ」と思い込んではいないだろうか?
そういう人にこそ、私はこの本を強くお勧めしたい。