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読者レビュー

銅

マージナルオペレーション

平文暗号を読み解く愉悦

レビュアー:出之

 以前、脳科学者の手になる「バカの壁」なる著作が世間を賑わせた。刺激的な表題だが冷厳な事実でもある。
 本作の読解にも屹立し、実は峻険にして長大なそれは意想外にも余人を寄せ付けない。
 読み解く鍵は実は単純にして『想像力』。
 作中でも連呼されているが通り。
 つまり、作者は読者に丁寧なシグナルを発している。
 まず、アラタは日本人。
 そして作品世界は、国外。
 舞台は、戦場。

 この時点から実はもう読者は選別されている。
 断言するが、99%は脱落している。

 記述されているのは芝村兄貴のいつもの語り言葉。

 「そりゃどうも」
 少し肩をすくめてアラタはぼやく。
 国外で。

 そ・り・ゃ・ど・う・も クリック

『和訳されている英語の本を読むと「そりゃどうも」と皮肉っぽく言うセリフがります。これは実際なんといっているのでしょうか? 』

 Thanks A LOT.
 でしょうね。

 英語での皮肉はイントネーションで表現するものが
 けっこうあります。
 一般に

 Your are right.
 は、確かにおっしゃるとおりでねですが、
 皮肉っぽく言うと、
 あんたの言うことは、そりゃなんでも正しいわな、
 あるいは、ウソつけ、
 みたいになります。
 結構日常聞きます、アメリカでは。

 マッチョ
 machismo (マチスモ、もしくはマチズモ)は「男性優位主義」を指し、男性としての優位性、男性としての魅力、特徴を誇示する、という意味合いがある。


「分かりました。有難うございます」

僕がそう言うと、ランソンははじめてにやりと笑った。

なぜそこで笑うかは分からない。生粋(きっすい)の軍人なら分かる事かも知れない。

「良い返事だ。星条旗(スターズ)に奉職(ほうしょく)していたら、君にはグリーンベレーに志願するように勧めていたところだ」

ランソンはそう言って笑った。

 このシーンがソフィアに言わせるとそう、だと言う。
 ならそうなのだろう。

 マジオペオンラインを開き。

 "I understand." Thank you

 When I say that, Lanson was grinned for the first time.

 I do not know why I laugh there.Genuine(Genuine)It may be seen that if the military.

 It's a good answer. "Stars and Stripes(Stars)ToBeing in the service of(Jewelry)Had been, to you I have just had been encouraged to volunteer in the Green Berets "

 Lanson laughed said so.

 まだ原風景と距離がある。部下と上官の会話。
 部下は上官に何と答える?
 軍隊では。

 Sir, yes, sir.

 マジオペの原風景を読み解く巡業はここから始まるが、多分殆どの読者はまず辿り着けない。
 そしてこれを瞬時に悟る選ばれた極々一部がにやにやと堪能する。
 ああ、そうくるか、と。

 筆者とて例外では無い。海外の著名戦術級SLGをプレイしていたのに気づいたのは物語終盤。

 戦術単位S、S……。
 ああ!AHの「Squad Leader」!
 そうかそうか……なんてまぬけなんだ、俺 orz。
 予想通り捕縛されたアラタに爆笑した直後に随分とバツの悪い思いをしましたよ。

2013.04.30

さやわか
文体が変わっていて、これを僕はすごく好ましいと思います。何と名付けたらいいのか分かりませんが、まず美的である。しかしそのぶん、読み手を選ぶ文章にはなっているとは思います。ただ、この感性を理解する人は「マージナル・オペレーション」という作品に興味がわく。そういう文章だと思います。そういう意味でこのレビューは価値あるものです。「銅」といたしましょう。「銀」でないのはなぜかというと、文体にまかせているぶん、いくぶん説明不足の感があるからです。一例を挙げれば一行目の「冷厳な事実」が何を指しているのかはちょっとわかりにくい。これは大変おしい。「バカの壁」という本があって、それには○○ということが書いてあるのだけれど、それは冷厳な事実である、と書かないといけないわけです。レビューの読者がその本を読んでいるとは限らないので、ちゃんと説明しないといけないのですね。そういう読者への配慮があれば、このレビューはより読まれるものになると、僕は絶対にそう思います。

本文はここまでです。