西川聖蘭『西川聖蘭第一作品集 幸福論』
黒と白の往復運動による幸福論
レビュアー:USB農民
こんなにも多種多様な黒と白が描かれたマンガは他にないだろう。醜い黒と綺麗な白。死の臭いのする黒と未来を感じさせる白。黒い下着と白い下着。闇の中に浮かぶ白いゴキブリ。くるくると回るようにその色を反転させていく画面の連続は、徐々に速くめまぐるしくなっていく。黒い感情が激しくなるほどに、その直後に現れる白もまた濃さを増していく。
黒と白の二つの色は、共犯関係のように、マッチポンプのように、互いが互いを刺激し合い、劇的な化学変化を起こしている。
この作品を、タイトル通りに受け取るなら、作中には幸福を説明するロジックが組み込まれているはずだ。それは、黒と白の二色に込められていると私は思う。
暗い気持ちが作る黒が濃くなれば、次にくる白はより明るく未来を感じさせる色になる。その逆もまた然り。白に手を伸ばそうとしても、そこで掴めるのは黒い何かだ。
黒と白。どちらが幸福を象徴していると考えるか。人によって違うかもしれない。私の考えでは、どちらも単体では幸福を象徴できていない。
黒と白。その二つが同時にあるからこそ、幸福を語れるのではないか。
深くて暗い黒と、明るくて濃い白とを幾重にも越えた先に、登場人物たちの幸福そうな笑顔がある。
黒と白との絶え間ない往復運動にこそ、幸福論は宿っている。
黒と白の二つの色は、共犯関係のように、マッチポンプのように、互いが互いを刺激し合い、劇的な化学変化を起こしている。
この作品を、タイトル通りに受け取るなら、作中には幸福を説明するロジックが組み込まれているはずだ。それは、黒と白の二色に込められていると私は思う。
暗い気持ちが作る黒が濃くなれば、次にくる白はより明るく未来を感じさせる色になる。その逆もまた然り。白に手を伸ばそうとしても、そこで掴めるのは黒い何かだ。
黒と白。どちらが幸福を象徴していると考えるか。人によって違うかもしれない。私の考えでは、どちらも単体では幸福を象徴できていない。
黒と白。その二つが同時にあるからこそ、幸福を語れるのではないか。
深くて暗い黒と、明るくて濃い白とを幾重にも越えた先に、登場人物たちの幸福そうな笑顔がある。
黒と白との絶え間ない往復運動にこそ、幸福論は宿っている。