KEIYA「ひぐらしコラム」
現実と物語をつなげるコラム
レビュアー:USB農民
「ひぐらしのなく頃に」というフィクションは、作品外の現実を貪欲に取り込んでいる。雛見沢という架空の舞台に、実在の風景、事件、法律、社会問題などを散りばめ、物語を支える細かな設定や背景描写にリアリティを持たせると共に、受け手である我々に、この物語が決して、荒唐無稽なだけのおとぎ話ではなく、現実の地続きとして考えられたフィクションであることを強く訴えかけている。
KEIYAさんのコラムは、このことに誠実に向かい合っていて、読んでいて小気味いい。鬼という言葉の由来、当時の文化状況や家電製品の普及率、ファミレスの時代性、公衆電話の変遷など、普通の読者が気づかずに読み流してしまう細部に丁寧に拾い上げている。
私が特に面白く読んだのは、警察の捜査能力についてのコラムだ。KEIYAさんのコラムは、現実の資料と、作中の描写とをつき合わせて、それが昭和58年当時の科学捜査の描写として、決して間違っていないことを示していく。歯形と治療痕による死体の鑑定。焼死体の解剖結果。薬物の描写。当時はまだ確立していなかった、DNA鑑定技術。コラムで語られているほとんどの情報を私は知らなかったが、思い返してみれば「ああ、そういえばそんな描写があったな」と気づくことが多かった。さりげなく描写されていた、それら一つ一つの情報が、作中での警察組織や怪事件に、ただの絵空事に感じさせない緊張感を生んでいたのだろう。
コラムを読めば読むほど、「ひぐらし」という作品に現実味が宿っていく。フィクションと現実との接点を丹念に読み込み、解きほぐしていくKEIYAさんの文章は、数ある「ひぐらし」読解のサブテキストの中でも、群を抜いて面白い。
最前線で『ひぐらしのなく頃にスペシャルコラム』を読む
KEIYAさんのコラムは、このことに誠実に向かい合っていて、読んでいて小気味いい。鬼という言葉の由来、当時の文化状況や家電製品の普及率、ファミレスの時代性、公衆電話の変遷など、普通の読者が気づかずに読み流してしまう細部に丁寧に拾い上げている。
私が特に面白く読んだのは、警察の捜査能力についてのコラムだ。KEIYAさんのコラムは、現実の資料と、作中の描写とをつき合わせて、それが昭和58年当時の科学捜査の描写として、決して間違っていないことを示していく。歯形と治療痕による死体の鑑定。焼死体の解剖結果。薬物の描写。当時はまだ確立していなかった、DNA鑑定技術。コラムで語られているほとんどの情報を私は知らなかったが、思い返してみれば「ああ、そういえばそんな描写があったな」と気づくことが多かった。さりげなく描写されていた、それら一つ一つの情報が、作中での警察組織や怪事件に、ただの絵空事に感じさせない緊張感を生んでいたのだろう。
コラムを読めば読むほど、「ひぐらし」という作品に現実味が宿っていく。フィクションと現実との接点を丹念に読み込み、解きほぐしていくKEIYAさんの文章は、数ある「ひぐらし」読解のサブテキストの中でも、群を抜いて面白い。
最前線で『ひぐらしのなく頃にスペシャルコラム』を読む