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読者レビュー

銅

マージナル・オペレーション

画面の向こう側に。

レビュアー:キノケン Novice

僕たちが普通に生活する中で、本物の「現実」に接する機会はどのくらいあるのだろうか。
テレビやパソコンに映る映像にリアリティーはなく、ただ「画面に映ってる映像」として捉えてしまっている自分がいる。
でも、その画面の向こう側には、そこに映し出される場所で生活をしている人々の「現実」がある。そんなことを気にかけて生活している人は、いったいどのくらいいるのだろうか。
主人公「アラタ」も、最初は画面を画面としかーーただ、ボタンを押すことは、ボタンを押すこととしかーー思わない人間だっただろう。
でも、傭兵稼業をこなしていくうちに、自分がモニターで見ていた点や、押していたボタンが段々に「現実」とリンクしていることを知っていく。
その過程でのアラタの描写が非常に生々しく、当たり前のことに気づかない現代人らしい葛藤が描かれているように思う。

ただのフィクション小説としてだって、非常に面白い。

でも、そんな物語が描き出している「現実」の問題についても僕たちは考えていいのかもしれない。

最前線で『マージナル・オペレーション』を読む

2012.04.23

のぞみ
私も、実際のものを見たわけではないのに、知っていると思ってしまいがちですわ~(>ω<)
さやわか
なるほど、このレビューは作品に含まれているテーマをきちんと受け止めて、それについてそつなく書いている印象があります。文体はシンプルでわかりやすい。少しだけ気になったのは、最後の部分で「物語が描き出している『現実』の問題」と言っていることです。つまり「物語」が「現実」を描いているという奇妙な言い方になっている。「物語」も、冒頭に出てきた「テレビやパソコンの映像」と同じく、本当は「現実」ではないですよね。これはちょっと惜しい。そこに触れるのか、あるいは触れないのか、いずれにしてもきちんと配慮して書いてあるともっといいだろうなと思いました。ということで「銅」とします!

本文はここまでです。