ジスカルド・デッドエンド
ただのファンとして
レビュアー:ややせ
私にも、尊敬して止まないクリエイターがいる。
私の場合、彼への憧れはその人を倣って創造するという方向には向かなかったけれど、ジスカルドにもう夢中になってしまって創作の世界へ飛び込んでいったデイジーの気持ちは、だからとてもよく分かった。
絵や文章を書く人、音楽を作る人、そしてもちろんゲームを組み上げる人。想像と創造を一つにしようと戦っている人にとって、この「ジスカルド・デッドエンド」は単なるファンタシー以上の生々しさで迫ってくるだろう。
デイジーの味方についてくれているジスカルドのゲームのキャラは、確かに相手の心を読んだり身体を意のままに動かすことができたりと、すごい超能力を持っている。
けれど、デイジーを襲ってくる方のキャラ達は、ミサイル飛ばすわ公園は破壊するわの圧倒的な力の差でもって向かってくる。
一見勝ち目のなさそうな戦いを、味方の能力をうまく組み合わせて何とか凌ぐのだが、圧倒的な現実の持つ力に対して、目に見えない想像力がどのように抵抗していくかのメタファーのように思えた。
更に、デイジーやその他のファンにとっては髪にも等しい存在であるジスカルドだが、いついつまでもその座に君臨していられないかもしれないという不安が見え隠れする。
神が神の座にいることに倦んだのか、飽いたのか。
そして、創作を続ける限り、創作者はより良いものを作ろうと高みを目指さなくてはならないものだ。
デイジーが意図しようとしまいと、これは神に対する戦いの比喩でもあったのだと思う。
一つの創作物を愛する集団がそれを護ろうとする戦いと、その創作物をもっと高めようと上を目指す戦い。
仲良く楽しめたらそれでいいという馴れ合いと、もっと楽しいもの素晴らしいものを追いかけようとする探究心。
作り手が感じるジレンマが、葛藤が、悲鳴を上げているかのような内容に、読んでいて辛くなるばかりだった。
友達ならば、「辛いなら辞めたらいいよ」と言うだろう。
けれどファンだったら。「辛いなら辞めてもいいよ」とはどうしたって言えない。辛くてもしんどくても、それでもやれ!もっと高みを目指せ!と言うしかないし、それがファンの矜恃でもあるのだ。
けれど、その結果として、神のように王様のように慕うクリエイターが倒れてしまったら……どうしたらいいのだろう。
作品を愛しているのか、作者を愛しているのか。芸術について語りたいのか、身内の流行について語りたいのか。
どんなもののファンにせよ、そのギリギリのラインの上に立ち、どちらに落ちることもないような(例えば冷静なレビューを書けるような)ファンでいたいと改めて思った。
私の場合、彼への憧れはその人を倣って創造するという方向には向かなかったけれど、ジスカルドにもう夢中になってしまって創作の世界へ飛び込んでいったデイジーの気持ちは、だからとてもよく分かった。
絵や文章を書く人、音楽を作る人、そしてもちろんゲームを組み上げる人。想像と創造を一つにしようと戦っている人にとって、この「ジスカルド・デッドエンド」は単なるファンタシー以上の生々しさで迫ってくるだろう。
デイジーの味方についてくれているジスカルドのゲームのキャラは、確かに相手の心を読んだり身体を意のままに動かすことができたりと、すごい超能力を持っている。
けれど、デイジーを襲ってくる方のキャラ達は、ミサイル飛ばすわ公園は破壊するわの圧倒的な力の差でもって向かってくる。
一見勝ち目のなさそうな戦いを、味方の能力をうまく組み合わせて何とか凌ぐのだが、圧倒的な現実の持つ力に対して、目に見えない想像力がどのように抵抗していくかのメタファーのように思えた。
更に、デイジーやその他のファンにとっては髪にも等しい存在であるジスカルドだが、いついつまでもその座に君臨していられないかもしれないという不安が見え隠れする。
神が神の座にいることに倦んだのか、飽いたのか。
そして、創作を続ける限り、創作者はより良いものを作ろうと高みを目指さなくてはならないものだ。
デイジーが意図しようとしまいと、これは神に対する戦いの比喩でもあったのだと思う。
一つの創作物を愛する集団がそれを護ろうとする戦いと、その創作物をもっと高めようと上を目指す戦い。
仲良く楽しめたらそれでいいという馴れ合いと、もっと楽しいもの素晴らしいものを追いかけようとする探究心。
作り手が感じるジレンマが、葛藤が、悲鳴を上げているかのような内容に、読んでいて辛くなるばかりだった。
友達ならば、「辛いなら辞めたらいいよ」と言うだろう。
けれどファンだったら。「辛いなら辞めてもいいよ」とはどうしたって言えない。辛くてもしんどくても、それでもやれ!もっと高みを目指せ!と言うしかないし、それがファンの矜恃でもあるのだ。
けれど、その結果として、神のように王様のように慕うクリエイターが倒れてしまったら……どうしたらいいのだろう。
作品を愛しているのか、作者を愛しているのか。芸術について語りたいのか、身内の流行について語りたいのか。
どんなもののファンにせよ、そのギリギリのラインの上に立ち、どちらに落ちることもないような(例えば冷静なレビューを書けるような)ファンでいたいと改めて思った。