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読者レビュー

銅

泉和良『ジスカルド・デッドエンド』

書を捨てよ! そして――

レビュアー:ユキムラ Adept

 この本に関しては、あまり多くを語りたくない。
というか、この本に対して私は怒っている。怒っているのだ。

 一年でもっとも仕事が忙しい時期。
魔の一ヶ月の序盤に、この本を手に取った。
少し時間が空いたからと侮っていた。
この本を油断していたのだ。

 この物語は【死と再生をめぐる物語】と銘されている。
私にとっては、それ以上に、【創作意義を求める物語】だった。
 端的に言えば、私はこの小説にあてられたのだ。
あるいは、この小説に出てくるクリエーター達が有する熱情に。

 今現在、読み手でしかない己を嫌悪した。
むしょうに、作り手の側に回りたくなった。
憬れ 焦がれたのだ、彼らに。創作過程の彼らの生き様に。


 この小説は私に無慈悲で冷酷な衝動だけを与えて、無断でストーリーを収束させてゆく。
だからこそ、腹が立つ。腹立たしい。

 責任を取ってほしい。
「お前に孕まされたこの衝動を、俺は一体何にぶつけろと!?」

2012.04.02

さやわか
「私は怒っている。怒っているのだ」というところがいいですね。大時代的な語り口ですが、かわいげもあって、それをわりと自覚的に書いているあたりが個人的には好みです。レビューとしては素朴な構成というか、きわめて感情がストレートに伺えるところがいいと思います。「銅」にしましょう! 「一体何にぶつけろと!?」というオチは、一瞬「いや、だったら自分も創作すればいいのでは?」と思ってしまったのですが、そこで「一年でもっとも仕事が忙しい時期」という前提が戻ってくるのでしょうな。つまり今は忙しいから自分は創作にかかることができない。そう考えるとなるほどと読めるのですが、ひっかかる部分であることも事実です。もう一言だけでいいですから、どこかに「忙しくて創作ができない」みたいな話を添えることはできないでしょうかね?

本文はここまでです。