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読者レビュー

銅

虚淵玄『Fate/Zero』

虐げられている貴方を見てるのも、割と好きだったんだよ。

レビュアー:ユキムラ Adept

 申し訳ありません、前回のレビューでの発言を一部取り下げます。
私は間男ランサーに対して、ツンデレ属性なんて発動していません。今後一切、発動させる予定もないのです。

『Fate/stay night』からFateに入った私としては、どうしてもランサー同士を比較してしまいます。
その二人のランサーを天秤にかけると、私はどうしても『Fate/stay night』のランサーに天秤を傾けてしまうのですよ。

『Fate/stay night』は分岐のあるルートなので一概には言えませんが、えー...なんていうか、ランサーが漢前なのです。
「そこにシビれる!あこがれるゥ!」とはまた違った魅力で、一生ついていきたくなります。
マスターを裏切ってまで己が信念を貫き、凛を助けたシーンなんて、「凛、ちょっと変われ!」と叫びかけたほどで。
 転じて『Fate/Zero』における間男ランサーは…「まぁ顔だけだな」という感じだったりするのです。
いえ、他に魅力もありますよ? 多分。
騎士道精神とか忠節っぷりとか……あとホクロとか?
だが所詮はそれだけ止まりの男。私の心にはまったく響いてこないのです。

 否。
響くシーンがひとつだけありました。
臨終のかのシーンです。
 さすがにあそこは同情したものです。
いえいえいえ、私が真実同情したのはソラウに対してやも知れません。
こたびの生こそ忠義を貫こうとするランサーにとっての、獅子身中の虫。
けれどソラウのその慕情は恋に違いなくて。
サウンドドラマでの一味違った演出の最期には、私はソラウに対して明らかなる憐憫の情を抱いたものです。あるいは当て字な恋憫の。

 それからというもの、間男ランサーの最期を読むたび/聴くたび、私の口許には嗤いが浮かびます。
因果応報だと
自業自得だと
昏い感情を覚えずにはいられないのです。
 これは恋ではありません。愛なんかではありません。まして、ツンデレであるはずがない。



 ――けど、もしかしたらヤンデレってやつなのかも知れませんね。
だってやっぱり、その後ろ姿を目で追って、ふりかかる災厄や試練に一喜一憂しちゃうんだもん。。。

2012.02.18

のぞみ
もう!結局好きなんじゃないですか(*´艸`) と言いたくなっちゃうような、素敵なラブレターを拝見した気持ちですわ!
さやわか
というか、自分の愛情がどういうものなのか、書く上での関心はただそこにあると言えるでしょうな(笑)。僕は好きですが、これがレビューとして成り立っているかどうか、意見は分かれるところだと思います。
のぞみ
でも、ちゃんと、ユキムラさん気持ちもわかりますのよ。
さやわか
うむ。僕もこれはこれでいいと思う。なんだかものすごい愛情だけは、作品が未読の人にも伝わってくるからです。「銅」にいたしましょう。ただ、やっぱり知らない人には「なんだかものすごい愛情を注がれうる作品なのだな」ということしか伝わらないとは思う。それがこのタイプのレビューのネックになるのでしょうな。

本文はここまでです。