「青春離婚」
ヒロインの心と、一文字の雨音
レビュアー:USB農民
漫画「青春離婚」は、不慣れな恋愛に戸惑いや喜びを覚える、ヒロインの心の揺れや機微を上手く映し出すことに成功している。だから面白い。そして、その面白さを作り出すための工夫もまた、一つ一つが面白い。
「青春離婚」はカラー漫画だが、画面の半分ほどはモノクロ調だ。敢えて色を抑制する理由は、読者の関心をヒロインの感情の動きへ導くためだ。
例えば、主要人物以外のキャラクターには色がない。グレーの影がかかっているのみだ。あるいは傘にも色がない。これらの要素は、ヒロインの感情表現との関わりが薄いからだ。
逆に画面の背景色の色遣いなどはとても細かい。第一回の後半に、何度か使われている黄色系の背景色は、そのどれも同じ色ではない。(気持ちが大きく、意志が強いほど濃い黄色に変化している)
色の有無と、その濃淡などを効果的に使うことで、ヒロインの微妙な心の動きが描き出されている。
もう一つ、音について見ても面白い。
第二回の雨が降っている場面で、雨音は最初「ザアアア」と表現されているが、ヒロインがスマートフォンの説明についていけず、困惑した表情を浮かべているコマでは「どざーーーー」という重たく間の抜けた感じのする表現に変わっている。そして「お願いします。夫婦のよしみで」と言われたヒロインが言葉に詰まるコマでは、雨音は「ザ」と一文字で描かれている。ヒロインの意識が、投げかられた言葉に集中し、周りの雨音が気にならなくなったことを、たった一文字で説明している。
「青春離婚」はヒロインの多彩な表情の変化を眺めるだけでも楽しい漫画だが、こうした細かい表現に着目してみるのも面白い。
「青春離婚」はカラー漫画だが、画面の半分ほどはモノクロ調だ。敢えて色を抑制する理由は、読者の関心をヒロインの感情の動きへ導くためだ。
例えば、主要人物以外のキャラクターには色がない。グレーの影がかかっているのみだ。あるいは傘にも色がない。これらの要素は、ヒロインの感情表現との関わりが薄いからだ。
逆に画面の背景色の色遣いなどはとても細かい。第一回の後半に、何度か使われている黄色系の背景色は、そのどれも同じ色ではない。(気持ちが大きく、意志が強いほど濃い黄色に変化している)
色の有無と、その濃淡などを効果的に使うことで、ヒロインの微妙な心の動きが描き出されている。
もう一つ、音について見ても面白い。
第二回の雨が降っている場面で、雨音は最初「ザアアア」と表現されているが、ヒロインがスマートフォンの説明についていけず、困惑した表情を浮かべているコマでは「どざーーーー」という重たく間の抜けた感じのする表現に変わっている。そして「お願いします。夫婦のよしみで」と言われたヒロインが言葉に詰まるコマでは、雨音は「ザ」と一文字で描かれている。ヒロインの意識が、投げかられた言葉に集中し、周りの雨音が気にならなくなったことを、たった一文字で説明している。
「青春離婚」はヒロインの多彩な表情の変化を眺めるだけでも楽しい漫画だが、こうした細かい表現に着目してみるのも面白い。