Fate/Zero
『Fate/zero』の魅力
レビュアー:USB農民
『Fate/Zero』はまるで神話の物語のようで、私にとって、とても魅力的だ。
神話には親殺しのエピソードが多い。有名なところで、心理学用語の語原として有名なオイディプスや、ギリシア神話の神々を統べるゼウスなど。彼らの物語には、特に重要なエピソードとして親殺しが語られる。
『Fate/Zero』における衛宮切嗣の物語は、実の姉同然に慕っていた少女が吸血鬼化した際に、彼女を殺すことに躊躇するところから始まっている。そしてその躊躇いが、より大きな悲劇を生み出すことになると彼は知ることになる。
それより先、切嗣は誰かを殺して誰かを救う術を身につけていく。
果たすことのできなかった、最初の悲劇に対する償いであるかのように。
血のつながった父親を殺し、
実の母親のように愛した女性を殺す。
神話では、例えばゼウスは、父であるクロノスを殺し、兄弟たちとともに世界の支配権を手中に収めた。父殺しによって世界の変革を行ったのだ。実に神話的なスケールだ。
衛宮切嗣が望むのも世界の変革だ。争いのない恒久的平和。その願望を胸に抱き、聖杯を求め戦い続ける。
神話のような物語を紡ぐために。
姉を、父を、母を殺した過去を、無駄にしないために。
だが、その戦いは、彼が思い描いた物語を紡ぐことなく終わりを迎える。
『Fate/Zero』はまるで神話の物語のようで、私にとって、とても魅力的だ。
けれど同時に、神話のような物語を強く否定しているようでもある。
理想や物語の輝きを熱く説きながら、真逆の冷たさでそれを否定していくような物語。
その間で翻弄される人々と、それでも戦い続けようとする意志こそが、『Fate/Zero』の本当の魅力かもしれないと思う。
神話には親殺しのエピソードが多い。有名なところで、心理学用語の語原として有名なオイディプスや、ギリシア神話の神々を統べるゼウスなど。彼らの物語には、特に重要なエピソードとして親殺しが語られる。
『Fate/Zero』における衛宮切嗣の物語は、実の姉同然に慕っていた少女が吸血鬼化した際に、彼女を殺すことに躊躇するところから始まっている。そしてその躊躇いが、より大きな悲劇を生み出すことになると彼は知ることになる。
それより先、切嗣は誰かを殺して誰かを救う術を身につけていく。
果たすことのできなかった、最初の悲劇に対する償いであるかのように。
血のつながった父親を殺し、
実の母親のように愛した女性を殺す。
神話では、例えばゼウスは、父であるクロノスを殺し、兄弟たちとともに世界の支配権を手中に収めた。父殺しによって世界の変革を行ったのだ。実に神話的なスケールだ。
衛宮切嗣が望むのも世界の変革だ。争いのない恒久的平和。その願望を胸に抱き、聖杯を求め戦い続ける。
神話のような物語を紡ぐために。
姉を、父を、母を殺した過去を、無駄にしないために。
だが、その戦いは、彼が思い描いた物語を紡ぐことなく終わりを迎える。
『Fate/Zero』はまるで神話の物語のようで、私にとって、とても魅力的だ。
けれど同時に、神話のような物語を強く否定しているようでもある。
理想や物語の輝きを熱く説きながら、真逆の冷たさでそれを否定していくような物語。
その間で翻弄される人々と、それでも戦い続けようとする意志こそが、『Fate/Zero』の本当の魅力かもしれないと思う。