「死体泥棒」
雪の冷たさを知ること
レビュアー:USB農民
この小説を一言で言ってしまえば、「一人の男が恋人の死を悲しむ話」だ。
とてもわかりやすい。が、一言で表すことと、長編小説の形をとって表すことはまったく違う。
雪の中に手を差し入れたままにしていれば、やがて低温火傷を起こすことは、実際にやってみるまでもなく誰にでもわかるだろう。しかし、その雪の冷たさは、実際に手を差し入れる経験がなくてはわからない。
恋人が死ねば、それは誰だって悲しいだろう。そんなことは経験するまでもなく誰にでもわかることだ。
でも、それはどれだけ悲しいことなのか。
その死は、どれくらい冷たいものなのか。
『死体泥棒』は、雪の中に手を差し入れた主人公に感情移入し、追体験することで、雪の冷たさを教えてくれている。
白い雪に包まれた世界はとても綺麗な風景だが、その世界は同時にとても冷たい。
もしこの小説を読んで感情を動かされたなら、それはきっと、この雪に触れて、その冷たさを知ったからだと思う。
雪に手を差し入れる行為は、いつだって冷たい手触りを与えるものだ。
『死体泥棒』もきっと同じだ。
この小説を読んで知った冷たさは、再び読み返した時でも、きっと同じくらい冷たいに違いない。
とてもわかりやすい。が、一言で表すことと、長編小説の形をとって表すことはまったく違う。
雪の中に手を差し入れたままにしていれば、やがて低温火傷を起こすことは、実際にやってみるまでもなく誰にでもわかるだろう。しかし、その雪の冷たさは、実際に手を差し入れる経験がなくてはわからない。
恋人が死ねば、それは誰だって悲しいだろう。そんなことは経験するまでもなく誰にでもわかることだ。
でも、それはどれだけ悲しいことなのか。
その死は、どれくらい冷たいものなのか。
『死体泥棒』は、雪の中に手を差し入れた主人公に感情移入し、追体験することで、雪の冷たさを教えてくれている。
白い雪に包まれた世界はとても綺麗な風景だが、その世界は同時にとても冷たい。
もしこの小説を読んで感情を動かされたなら、それはきっと、この雪に触れて、その冷たさを知ったからだと思う。
雪に手を差し入れる行為は、いつだって冷たい手触りを与えるものだ。
『死体泥棒』もきっと同じだ。
この小説を読んで知った冷たさは、再び読み返した時でも、きっと同じくらい冷たいに違いない。