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読者レビュー

銅

六本木少女地獄

恋焦がれる幻影

レビュアー:牛島 Adept

『六本木少女地獄』が観たい。
 演劇のジャンルなんてエンタメとアングラぐらいしか知らなくて、両手の指で足りるほどしか観劇したことのない私ですが、夏以来ずっとそう思っています。
 もちろん原くくるさんの才能に惚れているという部分もあるのですが――それよりも腹の中に溜まったナニモノカを消化したいという思いが強いのです。
 ナニモノカ。
 作品が持つ気持ち悪さだったり、いかがわしさだったり、あるいは垣間見える神聖さだったり――そうした情動ももちろんあります。
 ですが、何よりこの脚本を読みながら「キャラクターに顔を与えられない」ことに苛立っているのです。
 脚本だから当たり前だ、画神である竹さんのイラストで補完しろ、という意見はここでは無視します。私が気にしているのは、これが高校の演劇部で演じることを前提にしているということです。役者も、役も、半分固定されているのがこの脚本だと思わざるを得ないのです。
 原さんや、実際に観劇した人が見た役者の「顔」。それが空白のままでは、どうにもこの作品は消化不良になってしまう。
 なので、私はこの演目を見届けなければならないと思っています。できれば原さんが脚本を書いたときのメンバーで観てみたいという欲はあるのですが、さすがにそれは難しいでしょう。しかし、彼女の旗揚げに集められた人々の演じる姿ならば、『原くくる』の元に集った人々ならば、きっと私のささやかな欲求も満たされると思うのです。

 噂のタカシは一体どんな顔をしているのか。六本木に魅せられた人々はどんな身体表現を見せてくれるのか。山中先生の眼をも欺いた原さんの演技力とは一体!?

まあ、そんなわけで。
旗揚げ公演が今から非常に楽しみなのです。

2011.12.20

のぞみ
私も気になりますわ! 演じられたものも見てみたいですよね。
さやわか
うむ、公演への期待を述べているのですが、一応ちゃんと本としての『六本木少女地獄』の話にもなっているレビューですな。
のぞみ
作り上げていく工程もドキュメンタリーみたいにして、読んだり見たりできたら面白そうです。
さやわか
おっ! 何か姫から提案のようなことが! しかし、軽々しく言うとふつおたラジオみたいに想像もしなかった規模で実現されたりするから、注意した方がいいですぞ! さて、レビューとしてはわりと純粋にファン意識の感じられるものになっています。これはあくまで公演に期待するという体を取ったから致し方ない部分かもしれませんな。そういう意味では外部の人に作品の良さを伝えるという効果はちょっとだけ薄いのかもしれません。ですが、過剰な愛情を感じさせることによって興味を惹く文章にはできていると思います。ということで「銅」といたします!

本文はここまでです。