ひぐらしのなく頃に 皆殺し編(上)
自分にとっての「ひぐらし」
レビュアー:KILA
「正解率1パーセントの衝撃ミステリー」という見出しに惹かれて自分はこのシリーズを買い始めた(それまでは存在を知らなかった)訳だが、読み始めて思ったことだが、このシリーズは「ミステリー」と分類するよりかは、むしろ「人間ドラマ」といったほうが正解なのではないか、ということだ。いずれの作品においても、登場人物の心情が細かに描かれており、その心情の変化から事件が動き出し、最後は・・・。という風にストーリーが展開される。今回の皆殺し編では、今まで6編の物語によって紡がれてきた謎がほぼすべて明るみになり、最終話へと続いていくための1つのターニングポイントとなっている。皆殺し編を読んだ自分の感想としては、一言でまとめるならば、「最も悲惨な奇跡」といったところだろうか。(祭囃子編を除いた7編の中で)最も真相に近づきながらも最も悲惨な結果を生み出すことになってしまうこの話には賛否両論あると思うが、個人的には著者が言いたかったことが如実に表れた作品だと感じている。現代では希薄になった「人と人とのつながり」というものの重要性を知る上でこの作品は外せない。