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読者レビュー

鉄

「やめること」からはじめなさい

「やめること」から始まる「非属の才能」

レビュアー:yagi_pon Novice

どこかで読んだなにかとなにかが、急につながったりするから読書はおもしろいなぁ。


「○○をやめる」そんなフレーズが並ぶこの本の目次を見て思い出したのは、『非属の才能』という本だった。『「やめること」からはじめなさい』は星海社新書から出されており、その新書の編集長を務めているのが、『非属の才能』の編集を担当した柿内さんだ。『「やめること」からはじめなさい』を担当したのはその柿内さんではなく、もう一人の編集である竹村さんなのであるが、この二つが結びついたことは偶然とは思えない。

『「やめること」からはじめなさい』という本のまえがきでは、「飛躍できないのはたくさん荷物を持ちすぎているからだ。(中略)『努力する』のではなく、『やめる』ことが飛躍のコツなのだ」と書いてある。あなたが頑張って続けていることのほとんどは、あなたの筋肉になるどころかただの重荷にしかなってねぇぞ!だったらやめちまえ!といった主張だ。
『非属の才能』という本のまえがきでは、「才能というものは”どこにも属せない感覚”のなかにこそある」と書いてある。協調し同調するだけの人間はなんてクソくらえだ!群れずにやりたいことをやれることこそが才能だ!そうした非属の才能こそが様々な才能をのばすんだ!といった主張だ。。

「○○をやめる」そんなフレーズが並ぶこの本の目次に書かれているのは、同僚とのランチや残業にはじまり、社交辞令、貯金、ツイッター、電車等々、日常で当たり前にしていること、当たり前に使っているものがどんどん否定されていく。もちろん著者が言う通り、ここに書いてあることすべてをやめてしまえという話ではないのだけれども、こうしたものの多くをやめていくことでどうなるのだろうか。
私はいろいろやめていった先にあるのが、「非属の才能」ではないのかと思うのだ。みんながやっている当たり前のことをしないことが「非属」だから、「やめること」からはじめていった先に待っているのは、「非属の才能」なのだ。

『「やめること」からはじめなさい』と読んでいいなと思った人は、『非属の才能』を読むと、さらに飛躍するヒントがあると思う。『非属の才能』では、「非属の才能」を持った人たちがどうように活躍しているかがわかるので、あなたが「やめること」をはじめるのに背中を押してくれるのではないだろうか。

『「やめること」からはじめなさい』が入門編だとすれば、『非属の才能』は実践編のようなものだ。

さぁあなたも、「やめること」から「非属の才能」を目指そう!

2011.12.20

さやわか
論旨ははっきりしていて、納得させられるところもあります。書き手が本を読んでどう思ったかも出ている。『「やめること」からはじめなさい』と『非属の才能』を関連させて語るのは、どこか狭い視野になりはしないかと注意して読んだのですが、そういう印象は受けなかったですな。これは編集者に関連性があるのだということを強く主張したからこそ、かえって不自然な流れに見えないのだろうと思います。ただ、「やめること」と「非属」によって読者がどんな価値を得るのかというところがもう少し語られてもいいような気がしました。それがないと両方の本には通底する思想がある、という構造的な指摘に留まってしまいます。レビューとしては、その思想はこんなふうによいと感じた、というところまで言ってほしい。これは非常にもったいないことです。類似性を指摘するのは書き手も読み手も面白いのですが、それが目的化してしまうのは非常に危険なことでもあるので、うーん、厳しいですが、ここは「鉄」とします!

本文はここまでです。