iKILL
星海社FICTIONSの黒一点 01.「パッケージについて」
レビュアー:牛島
iKILLという作品を語るにあたって、どうにもこの作品は一本のレビューには纏めきれない魅力があるな、という確信がありました。そんなわけでレビューネタを小分けして勝手に連載(?)を始めたいと思います!
題して「星海社FICTIONSの黒一点」! 途中で途切れたら私の気力が切れたかボツをくらったと思ってください!
さて、初回のテーマはこの作品のパッケージについて。ブラックすぎる装丁や、ざいん氏のイラストについて語りたいと思います。
書店で見かけた方や本棚に納めている方はお気づきだと思いますが、白を基調にした背表紙が多い星海社FICTIONSの中でこの「iKILL」シリーズの真っ黒なカバーはかなり目を引きます。この背表紙の吸引力はなかなかのものではないでしょうか。
こうした「黒」を強調する仕掛けは本文中にも出ています。紙に印刷したインクが持つ特有の黒さ――光の具合で微妙に変化する味わいが、ページをめくる瞬間に垣間見えます。深みのある「黒」が強調されることで、各巻のテーマカラーにもなっている蛍光色のピンクとグリーンが映えることもポイントでしょう。これらの色の組み合わせから醸し出される、鮮やかなのに不吉なイメージは、作品の内容にも見事にマッチしていると思います。
そうした色使いが映えるのも、イラストを担当するざいん氏の表現力があってこそだと思います。綺麗なのに、どこか不吉なイラストたち。
お手元にある方は「iKILL」のイラストを見てみてください。なぜ、ざいん氏のイラストがこうも印象的なのか。そこには三つの大きな魅力があると思います。
一つは先ほどから繰り返している色使いです。「傑出した色彩感覚」というフレーズにはまさに、としかいえません。ざいん氏の絵は単純に視覚的な魅力があるだけではなく、色彩をうまく使うことで、塗りの中に輪郭に頼らない絵画的魅力が含まれています。
二つ目は「iKILL」に掲載されたイラストに描かれた背景についてです。これらはすべてよく知っているものでした。UFOキャッチャーの筐体も。公園のブランコも。脱衣所の洗濯機も、机が並べられた教室も、すべて私たちの記憶の中にあるものです。よく知っているはずなのに、なぜかざいん氏のイラストは未知の世界に感じてしまう。当たり前の、身近な風景をここまで不気味に描くというのは尋常ではありません。
三つ目はキャラクターの目力です。人物や構図、年齢もバラバラなのに、不思議とざいん氏の描く人物の眼に惹かれてしまいます。当たり前で、なのにどこか異質な人物の眼。イラストの魅力がそこにはあるように思います。
デザインとイラストにおける色使い。
カラーページ印刷ならではのこの二つの色彩が「iKILL」の魅力に大きく寄与していることは言うまでもありません。
と、いうわけで。
第一回「パッケージについて」はこれにておしまいです! 次回からはどんどん内容やキャラクターに踏み込んでいきたいと思います!
続く!(といいなぁ……)
題して「星海社FICTIONSの黒一点」! 途中で途切れたら私の気力が切れたかボツをくらったと思ってください!
さて、初回のテーマはこの作品のパッケージについて。ブラックすぎる装丁や、ざいん氏のイラストについて語りたいと思います。
書店で見かけた方や本棚に納めている方はお気づきだと思いますが、白を基調にした背表紙が多い星海社FICTIONSの中でこの「iKILL」シリーズの真っ黒なカバーはかなり目を引きます。この背表紙の吸引力はなかなかのものではないでしょうか。
こうした「黒」を強調する仕掛けは本文中にも出ています。紙に印刷したインクが持つ特有の黒さ――光の具合で微妙に変化する味わいが、ページをめくる瞬間に垣間見えます。深みのある「黒」が強調されることで、各巻のテーマカラーにもなっている蛍光色のピンクとグリーンが映えることもポイントでしょう。これらの色の組み合わせから醸し出される、鮮やかなのに不吉なイメージは、作品の内容にも見事にマッチしていると思います。
そうした色使いが映えるのも、イラストを担当するざいん氏の表現力があってこそだと思います。綺麗なのに、どこか不吉なイラストたち。
お手元にある方は「iKILL」のイラストを見てみてください。なぜ、ざいん氏のイラストがこうも印象的なのか。そこには三つの大きな魅力があると思います。
一つは先ほどから繰り返している色使いです。「傑出した色彩感覚」というフレーズにはまさに、としかいえません。ざいん氏の絵は単純に視覚的な魅力があるだけではなく、色彩をうまく使うことで、塗りの中に輪郭に頼らない絵画的魅力が含まれています。
二つ目は「iKILL」に掲載されたイラストに描かれた背景についてです。これらはすべてよく知っているものでした。UFOキャッチャーの筐体も。公園のブランコも。脱衣所の洗濯機も、机が並べられた教室も、すべて私たちの記憶の中にあるものです。よく知っているはずなのに、なぜかざいん氏のイラストは未知の世界に感じてしまう。当たり前の、身近な風景をここまで不気味に描くというのは尋常ではありません。
三つ目はキャラクターの目力です。人物や構図、年齢もバラバラなのに、不思議とざいん氏の描く人物の眼に惹かれてしまいます。当たり前で、なのにどこか異質な人物の眼。イラストの魅力がそこにはあるように思います。
デザインとイラストにおける色使い。
カラーページ印刷ならではのこの二つの色彩が「iKILL」の魅力に大きく寄与していることは言うまでもありません。
と、いうわけで。
第一回「パッケージについて」はこれにておしまいです! 次回からはどんどん内容やキャラクターに踏み込んでいきたいと思います!
続く!(といいなぁ……)