『六本木少女地獄』より「うわさのタカシ」
タカシがゲシュタルト崩壊をする前に
レビュアー:横浜県
タ・カ・シ! タ・カ・シ!
あー、会いたい。会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい!
……あ、どうも。みなさんこんばんは。
僕としたことが取り乱してしまいました。ごめんなさい。
今回は『六本木少女地獄』より「うわさのタカシ」をレビューします。
一言で纏めると女の子3人がタカシを奪い合う話です。
タカシめ! なんて羨ましい奴!
登場するのはシズカ、エミリ、サトコ。
え? タカシはどこかって?
そう、なかなかタカシは出てこないんです。
ただひたすらに、3人の女の子が「タカシの彼女は自分だ」と張り合うだけなのです。
しかも困ったことに、3人は全く違うタイプの女の子だったりします。
清楚なシズカ、ビッチのエミリ、妹キャラのサトコ。
(僕はシズカが好きです)
うーん、1人の男がこの3人を同時に好きになるって、ちょっとおかしいよね。
(僕はシズカが好きです)
案の定と言ってはなんですが、彼女たちの話は食い違い始めます。
タカシは真面目な男だとシズカが語れば、エミリは荒い男だとそれを否定し、サトコは甘えん坊だと割って入るのです。
彼女たちの小競り合いは必見です。
サトコの作った料理を目の前で捨てたり……って陰湿ですね。しごく陰湿ですね。
ネギでチャンバラを始めるシーンでは、思わず吹き出してしまいます。
作者の前書きに、公演会場がネギ臭くなって叱られたと書いてありますが、当たり前でしょうよ。でも、見てみたいなぁ!
3人のかけあい(罵りあい?)も非常にテンポがよく、コミカルで楽しいです。
恐らく『六本木少女地獄』には、演劇と縁のない読者が多いと推測しますが、この「うわさのタカシ」が最初に掲載されているのは、僕のような戯曲集初心者にとってはありがたいですね。
ストーリーの把握も容易ですし、何より楽に舞台を想像しながら読み進められますね。
やがて物語は終わりに近づきます。
彼女たちは自分の彼氏であるタカシが、本当のタカシなのか分からなくなります。他の2人の語るタカシこそが本物なのか。そもそもタカシとは誰なのか、自分はタカシのどこが好きだったのか。
タカシという男の存在・概念が、彼女たちの中でゲシュタルト崩壊してしまうんですね。
読者の僕も、何が何だか分からなくなります。
てっきり読み進めたらタカシがどんな野郎か分かると思っていたのに!
これじゃあイメージが固まるどころか、混乱するばっかりだよ!
そしてついにはタカシが帰宅! もう玄関の前まで迫っています。
しかし彼女たちは不安に駆られるばかり。いま玄関の前に立っているのは、本当にタカシなのか。タカシであるとして、それは自分の彼氏なのか。
今すぐにでも会いたい気持ちと、扉を開けるのが怖い気持ちが彼女たちを襲います。
僕だってタカシの姿は早く見たい! どんな男なんでしょうか。
でもその一方、ドアが開くことで彼女たちが傷ついてしまうのは見たくない!
(特にシズカ)
あーでも怖いもの見たさがふつふつと湧き上がってくるー!
こうなったら、勇気を出して最後を読んでみるぜ!!
エミリ 開けて! 早く開けて!
と、突然ドアが開く。
三人、一人の男に微笑みかけて、
三人 ……タカシ!
暗転
―幕―
…………。
結局どんな奴やねえええええん!!
タ・カ・シ! タ・カ・シ!
あー、会いたい。会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい!
あー、会いたい。会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい!
……あ、どうも。みなさんこんばんは。
僕としたことが取り乱してしまいました。ごめんなさい。
今回は『六本木少女地獄』より「うわさのタカシ」をレビューします。
一言で纏めると女の子3人がタカシを奪い合う話です。
タカシめ! なんて羨ましい奴!
登場するのはシズカ、エミリ、サトコ。
え? タカシはどこかって?
そう、なかなかタカシは出てこないんです。
ただひたすらに、3人の女の子が「タカシの彼女は自分だ」と張り合うだけなのです。
しかも困ったことに、3人は全く違うタイプの女の子だったりします。
清楚なシズカ、ビッチのエミリ、妹キャラのサトコ。
(僕はシズカが好きです)
うーん、1人の男がこの3人を同時に好きになるって、ちょっとおかしいよね。
(僕はシズカが好きです)
案の定と言ってはなんですが、彼女たちの話は食い違い始めます。
タカシは真面目な男だとシズカが語れば、エミリは荒い男だとそれを否定し、サトコは甘えん坊だと割って入るのです。
彼女たちの小競り合いは必見です。
サトコの作った料理を目の前で捨てたり……って陰湿ですね。しごく陰湿ですね。
ネギでチャンバラを始めるシーンでは、思わず吹き出してしまいます。
作者の前書きに、公演会場がネギ臭くなって叱られたと書いてありますが、当たり前でしょうよ。でも、見てみたいなぁ!
3人のかけあい(罵りあい?)も非常にテンポがよく、コミカルで楽しいです。
恐らく『六本木少女地獄』には、演劇と縁のない読者が多いと推測しますが、この「うわさのタカシ」が最初に掲載されているのは、僕のような戯曲集初心者にとってはありがたいですね。
ストーリーの把握も容易ですし、何より楽に舞台を想像しながら読み進められますね。
やがて物語は終わりに近づきます。
彼女たちは自分の彼氏であるタカシが、本当のタカシなのか分からなくなります。他の2人の語るタカシこそが本物なのか。そもそもタカシとは誰なのか、自分はタカシのどこが好きだったのか。
タカシという男の存在・概念が、彼女たちの中でゲシュタルト崩壊してしまうんですね。
読者の僕も、何が何だか分からなくなります。
てっきり読み進めたらタカシがどんな野郎か分かると思っていたのに!
これじゃあイメージが固まるどころか、混乱するばっかりだよ!
そしてついにはタカシが帰宅! もう玄関の前まで迫っています。
しかし彼女たちは不安に駆られるばかり。いま玄関の前に立っているのは、本当にタカシなのか。タカシであるとして、それは自分の彼氏なのか。
今すぐにでも会いたい気持ちと、扉を開けるのが怖い気持ちが彼女たちを襲います。
僕だってタカシの姿は早く見たい! どんな男なんでしょうか。
でもその一方、ドアが開くことで彼女たちが傷ついてしまうのは見たくない!
(特にシズカ)
あーでも怖いもの見たさがふつふつと湧き上がってくるー!
こうなったら、勇気を出して最後を読んでみるぜ!!
エミリ 開けて! 早く開けて!
と、突然ドアが開く。
三人、一人の男に微笑みかけて、
三人 ……タカシ!
暗転
―幕―
…………。
結局どんな奴やねえええええん!!
タ・カ・シ! タ・カ・シ!
あー、会いたい。会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい!