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読者レビュー

銅

Fate/Zero

超えるべき目標

レビュアー:ひかけ Novice

普通誰もが親父の背中を見る。それは偉大なものであるかもしれないし、矮小に見えるものかもしれない。
そんなもの個人の価値観によって変わるだろうから一概にこうだとは言えない。親父の背中の性質の差によるものかもしれないけれど。
自堕落な親なら矮小に見えるだろうしね。あくまで例えだが。
ソレはあこがれとは言わないまでも通過点みたいなものとして存在している、気がする。優しさとか強さとかを兼ね備えた背中を持つ者として親父がいる。
正直親父はムカツク。あれやこれやと言ってくるし、めんどくさい。あ、絶賛反抗期ですこんにちは。だからかな?自然と親は超えるべき壁のようにそびえたっている気がする。「お前のことなんて超えてやんよ!」的な反抗?いや、コトバにするのが難しくてなんと言っていいのかわからないが…

なんでこんな話をしたか。それはみんな大好きイスカンダルさんのせいです。
Fate/Zeroでライダーとして現界するイスカンダル。マスターはおなじみウェイバー。Zeroでこのふたりが好きな人ってかなり多いよね。かくいう俺も大好きですけど。

イスカンダルってとってもオヤジ臭いよね。がさつで、なんか無駄にいろいろでかくて、頼もしくて、酒好きで、なんつーかいろいろとオヤジ臭い。いや、オヤジそのものと言ってもいいね!豪快に笑うイスカンダル想像してたらなんかもう居酒屋らへんにおるオヤジそのものだし。
世の中にオヤジなんて存在はめっちゃいる。子供というか家庭を持っていて30歳あたりからの男子、みたいな制限を加えなくていい。ぱっと見てオヤジだと思えればいい。中年層になってしまうだろうけどそれでいい。そのあたりはフィーリングだ。で、そのオヤジがキライな人って結構いると思うんだ。特に若い人。加齢臭だとか頭部がなんとか言ったりして理由つけて。
でもイスカンダルのことキライ?これほどまでにオヤジを体現してるヒトなんてそうはいないけど。個人的な価値観だけどキライな人あんまりいないんじゃない?少なくとも俺はキライじゃない。むしろ愛していると言ってもいいね。
でも俺自身オヤジはあんまり好きじゃないな。2次元と3次元とを比べるわけじゃなくなんとなくイヤ。みんなはどう?と投げかけたところで別の話題。

「オヤジ」と「親父」という文字も見てみんなはどういうイメージを浮かべる?
最初のほうは世間一般至るところにいるだいたいが中年層の男性。後のほうは自分の父やそれにあたる人を呼ぶときに使うんじゃない?でも発音はどちらも「おやじ」 不思議だよね。カタカナか漢字かで使い分けがなされている。って関心してる場合じゃないか。でもなんというかこれおかしいよね。世間一般で言われる「オヤジ」って自分の「親父」である場合もあるわけだよね。どっちやねんってツッコミいれたくなるな。こういう場合どっち使えばいいの?親父を父上とかパパとか呼べばいいんじゃない?って意地悪は禁止。

イスカンダル見てたら「オヤジ」と「親父」どっちも当てはまるなーだった。イスカンダルを普通に見てたらただの「オヤジ」
ウェイバーが住んでいる家の人との会話のシーンなんて居酒屋のそれとあまり変わらないように見受けられた。
でもウェイバーに対しては完全に「親父」だった。ウェイバーが負けそうになってるときに手を差し伸べるイスカンダル。
どこまでも直進しウェイバーの道を作るイスカンダル。追ってこいと言わんばかりに大きな道を作りながら。強い背中を見せながら。

なるほど。そもそも「オヤジ」と「親父」はひとつにできないんだ。同じ発音だけど全くの別物。それなら「オヤジ」と「親父」とのズレが生まれるのは必然。そりゃ「オヤジ」と「親父」の認識の差異も生まれるわけだ。たぶんさっきの「オヤジはキライだけどイスカンダルは好き」ってなったのはこのせいだろう。「親父」として好きなイスカンダルの部分を「オヤジ」に適用しようとしたから差異が生じた。

そうだな。「オヤジ」は年齢と見た目で一般化されたモノで、「親父」は特別な自分だけの父、いや、通過点とかかな。いや、通過壁っていう単語を作ってもいいかもしれない。点だったら正直超えるのが当たり前みたいに見えるし。壁くらいじゃないとね。

とりあえずイスカンダルの壁という背中を見るウェイバーと同じように俺も親父の背中を見てる。これからどうなるかはわからないけれど、とりあえずその壁ぶっこわして先に進む準備をしようかな。

2011.09.30

のぞみ
なぜか「親父」の代表というと、波平さんな私。
さやわか
姫……本格的にレビューと無関係な話を始めましたな……。
のぞみ
おかげで、このレビューを読み終えたら、イスカンダルさんが、波平さんのビジュアルでかたまってしまいました。なおさら、愛おしくなると思います(´ω`*)私の脳内変換は、意外と強力なので、しばらく、このままでしょう……。
さやわか
『Fate/Zero』を読めば波平じゃないイスカンダルの描写もありますぞ!! それはともかく、このレビューですが、基本的な書き方はとしてはあまり正攻法でないのですが、でも何か魅力があります。正攻法でないというのは、ひかけさんはよく、レビューの読者が作品を知っていることを前提にして書くのですが、レビューというのは作品を読んだことがない人も読むものなのでそれではいけないのですな。しかし、ひかけさんのあまりに楽しそうな調子のせいで、なんだか知らないけど面白そうな作品の気がしてくる。これはそういうレビューなのです。そこがこのレビューの面白さで、「銅」に値します。ただ、はっきり言えることですが、独りよがりではあります。これはこれとして、もうちょっと読者に視線を合わせて書くようにしないと、コンスタントにレビュアー騎士団で得点するのは難しいような気がしますぞ!

本文はここまでです。