空の境界 第三話「痛覚残留」第一回
二つの暴力描写について
レビュアー:USB農民
「痛覚残留」は痛みに翻弄される少女の物語だ。
あるいはこう言い換えてもいい。
痛みを受けることと、痛みを与えること――つまりは暴力に翻弄される少女の物語、と。
その少女――藤乃は、暴力を受ける側と、暴力を与える側の両方の役割を与えられる。
連載第一回の冒頭では、藤乃の身体に酷い暴力の痕が刻まれると同時に、それ以上の暴力を行使する存在としての藤乃の描写も描かれている。
暴行され服の乱れた藤乃の身体と、無残に横たわる男たちの捩れた死体。
その二つの絵には、どちらも藤乃の視線が同じページ内に描写されている。
それは、読者の視線をそこで行われている暴力へと誘導している。
この二つの絵(藤乃が受けた暴力と、藤乃が与えた暴力)が、「痛覚残留」という物語の強度を支えていることを理解した上での演出だろう。
この演出がさらっと行われている事実に、作者の高い漫画表現力が感じ取れる。
物語中盤以降で描かれるだろう、式と藤乃の在り方の違いや、藤乃が迎える結末も、この暴力の表現があればこそ活きてくる内容であるから、冒頭のシーンの意味はとても大きい。
(冒頭の描写が、どのように中盤以降の展開に関わってくるかは、実際に連載を読むことで確かめてほしい)
物語開始僅か数ページの間に、作品にとって最も大事な要素が力強く描かれていることは、すごいことだ。
きっと「痛覚残留」は傑作になる。
そのことがわかっているから、続きを早く読みたいと思う。
あるいはこう言い換えてもいい。
痛みを受けることと、痛みを与えること――つまりは暴力に翻弄される少女の物語、と。
その少女――藤乃は、暴力を受ける側と、暴力を与える側の両方の役割を与えられる。
連載第一回の冒頭では、藤乃の身体に酷い暴力の痕が刻まれると同時に、それ以上の暴力を行使する存在としての藤乃の描写も描かれている。
暴行され服の乱れた藤乃の身体と、無残に横たわる男たちの捩れた死体。
その二つの絵には、どちらも藤乃の視線が同じページ内に描写されている。
それは、読者の視線をそこで行われている暴力へと誘導している。
この二つの絵(藤乃が受けた暴力と、藤乃が与えた暴力)が、「痛覚残留」という物語の強度を支えていることを理解した上での演出だろう。
この演出がさらっと行われている事実に、作者の高い漫画表現力が感じ取れる。
物語中盤以降で描かれるだろう、式と藤乃の在り方の違いや、藤乃が迎える結末も、この暴力の表現があればこそ活きてくる内容であるから、冒頭のシーンの意味はとても大きい。
(冒頭の描写が、どのように中盤以降の展開に関わってくるかは、実際に連載を読むことで確かめてほしい)
物語開始僅か数ページの間に、作品にとって最も大事な要素が力強く描かれていることは、すごいことだ。
きっと「痛覚残留」は傑作になる。
そのことがわかっているから、続きを早く読みたいと思う。