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読者レビュー

銅

Fate/Zero(5)

負の遺産

レビュアー:ひかけ Novice

間桐雁夜は私にとってこの作品で一番感情移入したキャラだ。他のキャラも個性的で魅力的だけれどダントツで感情移入したのは雁夜だ。この作品って全体的に重くて、苦しいよね。特に雁夜の話なんか重すぎて吐くわ。この巻読んで1週間ほど次の巻行けなかったよ…

魔術を嫌い、それでも大切なものを守るために魔術の力を借りる。そんな矛盾を孕みながらも好きな人の大切なものを守るために戦う姿はとても見ていられなかった。だって大切なものを守ることはすなはち、大切なものを奪ってしまうのだから。わかりきっている結果。それでも闘い続ける雁夜。正直雁夜の話は見たくなかった。どうあってもこの先に未来がない。好きな人を悲しませる結果にしかならない。そんなの初めからわかりきっていた。だから本当に知りたくなかったこの展開を。それでも私は読まねばならない気がした。そんな義務感を覚えながら読み進めていて思った。「あぁ…雁夜は俺に似てるんだ…。」って。友人にお前見た目イスカンダルだろと言われて軽く凹んでた俺だけど、性格はほんと雁夜に似てると思う。無口で、シャイで、好きな人に静かに好意を寄せてて、気付いてもらえなくて、でもその人のこと心配して…ってはずかしっ!やめだやめだこんな話!ただの羞恥プレイだわこれ!自爆だけど!誤爆?どうでもいいわ!

なんというか雁夜の話してたら暗くなるの目に見えてたからなるべくラフに書こうと思ったのに全然できてない。ゲームとかなら登場人物に感情移入してしまうことがよくあるけど小説でなったのは久しぶりだな。それくらい私にとってハマっていた。ハマらない人には雁夜はただの不幸な人ポジションで終わるかもしれない。でも私は違う。雁夜はこの作品で一番人間的だと思う。そう主張する理由は「感情」にある。人間は喜怒哀楽さまざまな感情を持っている。1巻からよく読みなおして欲しい。
喜怒哀楽すべて描かれているのだ雁夜は。葵との楽しい会話。凛にプレゼントを渡す喜び。時臣に対する怒り。葵を壊してしまった悲しみ。
正直雁夜の生き方は歪だ。だがそれが人間らしさを醸し出す結果となっている。そしてこの喜怒哀楽の感情も同じように人間らしさというものを生みだしている。他のキャラではこんなに人間味溢れる描写はなされていない。たぶん。雁夜フィルターかかったので自信ないけど(笑)

今からFate/Zeroを読む人もいるだろう。心して聞いて欲しい。雁夜の一挙一動から目を離さないで欲しい。どのキャラも本当に個性的。でも、雁夜だけは少し状況が異なる。後悔と怒りの入り混じった感情をまき散らすのは雁夜だけなのだ。Fate/Zeroを一度読んだ人も雁夜について注目して2週目読んで欲しい。それだけがわたしの願いです。

Fateという意味は「運命」を指し示す。しかしそれは負のイメージの強い「運命」として使われる。そしてこの作品を読む読者はその「運命」に直面することは避けられない。
逃げずにあなたは―――立ち向かえるか?

2011.09.08

さやわか
いやあ、これは熱いレビューですな。
のぞみ
最後の一文の挑戦的な感じがいいですね! 皆さんも、レッツチャレンジですって感じです!
さやわか
うむうむ。もちろん、「『Fate/Zero』ならライダー組が鉄板」という人もいるだろうし「セイバー一択」という人もいるでしょう。しかし、それらの人たちがめいめいに思い入れてこうやって語るのが熱くていいです。まあそのこと自体をレビューに書くという手もあるのだけれど、別にそうでなくなって何ら問題はないです。この熱さはレビューとしては好ましい。だからむろん「銅」を贈ろうと思います! と、いうところでさやわかの星海社レビュアー騎士団、第十場は終わりです。
のぞみ
今回、二人目の騎士が誕生しました! 横浜県さんです!
さやわか
そして、レビュアー騎士団、残りはあと二場! つまり! 次回で騎士の称号を獲得する者がいれば、そこでゲームは終了! 獲得しなくても次々回で終了となる! だが、騎士まで届かない者でも、それぞれ上級称号を得た際の特典を目指して頑張ることは可能だ。各自、存分に力を発揮してもらいたい。……さて、ここからが重要だが、諸君…………なぜレビュアー騎士団が、騎士の称号を手にすることができる者の上限を「三人以上」と定めているか、わかるかね……。みなまでは言わない! だが! もし君が全力を出すならば! 今がその時だッ!
のぞみ
次回の投稿締め切りは2011年9月18日です! そして! 竜騎士07先生が特別審査員として登場する『ひぐらしのなく頃に』皆殺し編、帯コメント募集企画も始動です! こちらは9月25日まで! 規定文字数はありませんが、もちろん帯コメントとして採用されうる内容を送っていただいたほうがいいですよ! どちらもふるってどうぞ!
さやわか
レビュアー騎士団はいかなるレビュー投稿でも待つ! それでは、第十場はこれにて幕である! どどん!

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