アイディ。
「自分にとっての大事なもの」をたくさん知っている人
レビュアー:USB農民
ここ一週間ほど、少しずつ少しずつ『アイディ。』を読み進めている。
主に朝と夜の通勤電車内で読んでいる。読むときは、あせらずに文章を噛み締めながら読む。そうすると、身体の中に活力が沁み渡っていく。おかげで最近は身体的にも精神的にも好調だ。
『アイディ。』はエッセイだ。
坂本真綾さんがこれまでに経験したことをつらつらと書いている。
良いエッセイというのは不思議なもので、作者の個人的体験が書かれているだけの内容なのに、とても共感を覚えたり親しみを感じて、ついでに元気も出て来る。
ここに投稿しているレビューだって、そんな風に書ければ最高なのにと思うのだけど、なかなかそう上手くはいかない。
なぜ良いエッセイというものは、あんな風に読者に歩み寄ることができるのだろう。
私にとって、それは以前から抱いていた大きな疑問だった。
その疑問が、真綾さんの『アイディ。』を読むことで氷解した。
『アイディ。』に書かれている出来事は、職業的な話を外せば、ほとんどの読者が多かれ少なかれ似たような経験をしてきたのではないかと思う。
それはバレンタインの苦い思い出だったり、高校時代の部活動のことだったり、忘れ物にまつわる小さなエピソードだったりする。
真綾さんは、そういう普通のことや、当たり前のことを、「こういうのって大事だと思う」と飾らずに書いている。
なんというか、とても自然体で語っている感じがして、押しつけがましくないし、読んでいると、いつの間にか真綾さんと同じ風景を見ているような気分になる。
短い文章の一つ一つからは情景が浮かび、その一つ一つの繋がりからは、色や音や人や時間や場所や感情が形作られていく。つまり世界が目の前に広がる。
それはまるで、読む前から知っていた風景みたいな気がしてくる。
こんな風に感じる文章に、私はほとんど出会ったことがない。
こんな風に心と身体の気分が豊かになる文章を、私は他に知らない。
真綾さんのエッセイは、面白い話やタメになる教訓ではなくて、「大事なものについての話」だ。
「大事なものついて」の話は、人の心を打つし、人を元気にする。
たとえばそれは、友人や、家族や、恋人から、大事な打ち明け話を聞いた時なんかに似ている。
それはきっと、日々を良く生きるための支えになる。
良いエッセイの魅力は、そこに秘密があるのだと思う。
「大事なものについて」の話は、「自分にとっての大事なもの」が何なのか、ちゃんと知っている人にしか書けない。
真綾さんは、「自分にとっての大事なもの」をたくさん知っている人だと思う。
私はこれを書いている時点では『アイディ。』を読み終えていない。
まだ半分くらい残っている。
明日もきっと、電車に揺られながら『アイディ。』を読むだろう。
その残り半分を読みながら、私も「自分にとっての大事なもの」が何であるのか考えてみようと思う。
そして「自分にとっての大事なもの」が見つかったら、その次は、真綾さんのように魅力的な文章で、レビューを書いてみたい。
主に朝と夜の通勤電車内で読んでいる。読むときは、あせらずに文章を噛み締めながら読む。そうすると、身体の中に活力が沁み渡っていく。おかげで最近は身体的にも精神的にも好調だ。
『アイディ。』はエッセイだ。
坂本真綾さんがこれまでに経験したことをつらつらと書いている。
良いエッセイというのは不思議なもので、作者の個人的体験が書かれているだけの内容なのに、とても共感を覚えたり親しみを感じて、ついでに元気も出て来る。
ここに投稿しているレビューだって、そんな風に書ければ最高なのにと思うのだけど、なかなかそう上手くはいかない。
なぜ良いエッセイというものは、あんな風に読者に歩み寄ることができるのだろう。
私にとって、それは以前から抱いていた大きな疑問だった。
その疑問が、真綾さんの『アイディ。』を読むことで氷解した。
『アイディ。』に書かれている出来事は、職業的な話を外せば、ほとんどの読者が多かれ少なかれ似たような経験をしてきたのではないかと思う。
それはバレンタインの苦い思い出だったり、高校時代の部活動のことだったり、忘れ物にまつわる小さなエピソードだったりする。
真綾さんは、そういう普通のことや、当たり前のことを、「こういうのって大事だと思う」と飾らずに書いている。
なんというか、とても自然体で語っている感じがして、押しつけがましくないし、読んでいると、いつの間にか真綾さんと同じ風景を見ているような気分になる。
短い文章の一つ一つからは情景が浮かび、その一つ一つの繋がりからは、色や音や人や時間や場所や感情が形作られていく。つまり世界が目の前に広がる。
それはまるで、読む前から知っていた風景みたいな気がしてくる。
こんな風に感じる文章に、私はほとんど出会ったことがない。
こんな風に心と身体の気分が豊かになる文章を、私は他に知らない。
真綾さんのエッセイは、面白い話やタメになる教訓ではなくて、「大事なものについての話」だ。
「大事なものついて」の話は、人の心を打つし、人を元気にする。
たとえばそれは、友人や、家族や、恋人から、大事な打ち明け話を聞いた時なんかに似ている。
それはきっと、日々を良く生きるための支えになる。
良いエッセイの魅力は、そこに秘密があるのだと思う。
「大事なものについて」の話は、「自分にとっての大事なもの」が何なのか、ちゃんと知っている人にしか書けない。
真綾さんは、「自分にとっての大事なもの」をたくさん知っている人だと思う。
私はこれを書いている時点では『アイディ。』を読み終えていない。
まだ半分くらい残っている。
明日もきっと、電車に揺られながら『アイディ。』を読むだろう。
その残り半分を読みながら、私も「自分にとっての大事なもの」が何であるのか考えてみようと思う。
そして「自分にとっての大事なもの」が見つかったら、その次は、真綾さんのように魅力的な文章で、レビューを書いてみたい。