星海社
虫けらの救難信号
レビュアー:ticheese
レビュアー騎士団の常連たちのtwitterを見ていると、あるいは#sai_zen_senのタグのツイートを見ていると、ふと感じることがある。
「ここにいる人達は太田克史が講談社でファウストを作っていた時から、太田克史の作品を楽しんでいた人たちなんだ」
恥ずかしながら、私は星海社が出来てから太田克史の存在を認識した。メフィスト賞や講談社BOXは知ってはいたけれど、特に興味を示さずに過ごしてきてしまった。それは勿体ないことだったのかもしれない。
そこで己の世界の狭さを知った私は、西尾維新の『クビキリサイクル』(ちなみに『化物語』だけは読んだことがある)舞城王太郎の『煙か土か食い物』を読んでみた。なんておもしろいんだ。刺激的で飽きさせず、最後に大きなどんでん返しが待っている。まるで(非道徳的な)エンターテイメントの教科書を読んでいるようだと思った。
星海社文庫と星海社FICTIONSで読んだ作品も太田克史が集めただけあってその因子を持っており、私はとても満足していた。だから私は星海社のコンテンツが好きになった。太田克史は大した人だ。
そして第1回星海社FICTIONS新人賞『ブレイク君コア』が発表された。
太田克史が星海社FICTIONSで求めている作品だ言っていた作品。太田克史が絶賛していた作品。確かに面白かった。作者の小泉陽一郎が新しい才能だというのも頷けた。でも、どこかに引っかかりを感じてもいた。
それがなんだったのかはっきりと確信したのは、やはり私よりもっと前から太田克史を追ってきた人たちのツイートからだった。
「西尾維新や舞城王太郎の影響を感じる」
これに気づいた時の私の不安が誰かにわかるだろうか。背中に冷たい汗が伝わり、息がなんだか苦しい。急に世界が狭くなったかのようだった。
怖い。
『ブレイク君コア』の主人公がヒロインと○○○ピーなことをするのは『煙か土か食い物』に似ている。惨殺された死体は『iKILL』に似ている。ヒロインへの直球な気持ちは『化物語』に似ている。太田克史という世界の境界線を見た気がした。
私は星海社が好きだ。活発で勢いがあって楽しい星海社のコンテンツが好きだ。でもそのコンテンツの中心である星海社FICTIONSの大事な第1回新人賞が、太田克史がこれまで手がけてきた作品と同じ匂いを発している。もしかしたら星海社を好きになるということは、太田克史を好きになることなのかもしれない。
そう思うことが怖いのだ。
始めにも書いたが、私が太田克史を認識したのがかなり最近のことになる。だから他の人よりも太田克史に対する信頼というものが薄いのだ。星海社的に言うなら、「太田克史の魔法にかかっていない」私はこれから星海社の作品や(特に)新人賞の作品を読むたびに、「あっ、太田克史っぽい」と思うことになるのは絶えられない。新鮮な空気を吸いたくなって、いつか星海社から離れてしまうだろう。
本当に星海社のサイトは「最前線」なのか?
新しい才能を見つける目はいつも同じ方角を見ているんじゃないのか?
これからも私は星海社のコンテンツを楽しみ続けられるのか?
この不安を語ると「ビビリ」とか「にわか」とか「じゃあ止めればいい」と言われそうで気が滅入る。でも自然災害に真っ先に気づいて逃げ出すのは、虫や鳥やネズミなどの弱い生き物だ。もし私の不安に虫けらほどの価値しかないのなら、これは逆に危ないのかもしれない。
だから私は祈らずにはいられない。
山中武さん、太田克史を超えてください。
岡村邦寛さん、最前線を変えてください。
平林緑萌さん、星海社をあなた色に染めてください。
今の星海社は太田克史一色です。そこに不安を感じずにはいられません。
私は星海社が大好きなんです。大好きでい続けたいんです。
「ここにいる人達は太田克史が講談社でファウストを作っていた時から、太田克史の作品を楽しんでいた人たちなんだ」
恥ずかしながら、私は星海社が出来てから太田克史の存在を認識した。メフィスト賞や講談社BOXは知ってはいたけれど、特に興味を示さずに過ごしてきてしまった。それは勿体ないことだったのかもしれない。
そこで己の世界の狭さを知った私は、西尾維新の『クビキリサイクル』(ちなみに『化物語』だけは読んだことがある)舞城王太郎の『煙か土か食い物』を読んでみた。なんておもしろいんだ。刺激的で飽きさせず、最後に大きなどんでん返しが待っている。まるで(非道徳的な)エンターテイメントの教科書を読んでいるようだと思った。
星海社文庫と星海社FICTIONSで読んだ作品も太田克史が集めただけあってその因子を持っており、私はとても満足していた。だから私は星海社のコンテンツが好きになった。太田克史は大した人だ。
そして第1回星海社FICTIONS新人賞『ブレイク君コア』が発表された。
太田克史が星海社FICTIONSで求めている作品だ言っていた作品。太田克史が絶賛していた作品。確かに面白かった。作者の小泉陽一郎が新しい才能だというのも頷けた。でも、どこかに引っかかりを感じてもいた。
それがなんだったのかはっきりと確信したのは、やはり私よりもっと前から太田克史を追ってきた人たちのツイートからだった。
「西尾維新や舞城王太郎の影響を感じる」
これに気づいた時の私の不安が誰かにわかるだろうか。背中に冷たい汗が伝わり、息がなんだか苦しい。急に世界が狭くなったかのようだった。
怖い。
『ブレイク君コア』の主人公がヒロインと○○○ピーなことをするのは『煙か土か食い物』に似ている。惨殺された死体は『iKILL』に似ている。ヒロインへの直球な気持ちは『化物語』に似ている。太田克史という世界の境界線を見た気がした。
私は星海社が好きだ。活発で勢いがあって楽しい星海社のコンテンツが好きだ。でもそのコンテンツの中心である星海社FICTIONSの大事な第1回新人賞が、太田克史がこれまで手がけてきた作品と同じ匂いを発している。もしかしたら星海社を好きになるということは、太田克史を好きになることなのかもしれない。
そう思うことが怖いのだ。
始めにも書いたが、私が太田克史を認識したのがかなり最近のことになる。だから他の人よりも太田克史に対する信頼というものが薄いのだ。星海社的に言うなら、「太田克史の魔法にかかっていない」私はこれから星海社の作品や(特に)新人賞の作品を読むたびに、「あっ、太田克史っぽい」と思うことになるのは絶えられない。新鮮な空気を吸いたくなって、いつか星海社から離れてしまうだろう。
本当に星海社のサイトは「最前線」なのか?
新しい才能を見つける目はいつも同じ方角を見ているんじゃないのか?
これからも私は星海社のコンテンツを楽しみ続けられるのか?
この不安を語ると「ビビリ」とか「にわか」とか「じゃあ止めればいい」と言われそうで気が滅入る。でも自然災害に真っ先に気づいて逃げ出すのは、虫や鳥やネズミなどの弱い生き物だ。もし私の不安に虫けらほどの価値しかないのなら、これは逆に危ないのかもしれない。
だから私は祈らずにはいられない。
山中武さん、太田克史を超えてください。
岡村邦寛さん、最前線を変えてください。
平林緑萌さん、星海社をあなた色に染めてください。
今の星海社は太田克史一色です。そこに不安を感じずにはいられません。
私は星海社が大好きなんです。大好きでい続けたいんです。