ブレイク君コア
新人賞らしい疾走感ある傑作!
レビュアー:USB農民
この本を手に取った理由は、この作品が第一回星海社FICTIONS新人賞受賞作であるからだ。
だから、期待していたのは新人賞受賞作らしい、この作者にしかない魅力だ。物語なりアイディアなり、これまでに見たことのない何かを期待せざるをえない。
果たして、この作品にはその魅力があった。
しかし、それは物語でもアイディアでもなかった。
それは青春の狂騒的スピードを感じさせる、登場人物の感情の変化と、それを描写する勢いある語り口だった。
主人公・入山優太の語りは、大雑把で、論理的な精密性はあまり感じられない。
しかし、作中で事件が進展するたびに、彼は「過去」の自分の感情よりも、「今」の自分の感情を優先させる。そうやって、停滞せずに前へ前へと進んでいく。
「好きな人」が「好きだった人」になってしまったことに戸惑いつつも、「今、好きな人」に対する気持ちこそ一番大事なのだと信じる。
ここに私は青春を感じた。
青春時代に、誰かを好きになった後で、他の人を好きになることは誰にでもあると思う。それは何も特別なことではない。
ただ、入山優太は、その感情が一日とか数時間とか、異様な速度で変化していく。
入山優太の青春は、その速度こそが特別だった。
青春の過ぎていく速度が速ければ速いほど、一瞬一瞬の感情が失われていくのも速い。だが、彼は自分の過去の感情が失われていくことを、感情の変化を恐れない。「今」ここにいる自分の感情こそを、常に大切にしようとする。
その語り手の意識こそ、この作品特有の勢いを生みだす原動力となっている。
この勢い、疾走感は、今までの青春小説にありそうでなかった、新しい語り口だと思う。
だから私は、この小説を評価するし、この小説が好きだ。
だから、期待していたのは新人賞受賞作らしい、この作者にしかない魅力だ。物語なりアイディアなり、これまでに見たことのない何かを期待せざるをえない。
果たして、この作品にはその魅力があった。
しかし、それは物語でもアイディアでもなかった。
それは青春の狂騒的スピードを感じさせる、登場人物の感情の変化と、それを描写する勢いある語り口だった。
主人公・入山優太の語りは、大雑把で、論理的な精密性はあまり感じられない。
しかし、作中で事件が進展するたびに、彼は「過去」の自分の感情よりも、「今」の自分の感情を優先させる。そうやって、停滞せずに前へ前へと進んでいく。
「好きな人」が「好きだった人」になってしまったことに戸惑いつつも、「今、好きな人」に対する気持ちこそ一番大事なのだと信じる。
ここに私は青春を感じた。
青春時代に、誰かを好きになった後で、他の人を好きになることは誰にでもあると思う。それは何も特別なことではない。
ただ、入山優太は、その感情が一日とか数時間とか、異様な速度で変化していく。
入山優太の青春は、その速度こそが特別だった。
青春の過ぎていく速度が速ければ速いほど、一瞬一瞬の感情が失われていくのも速い。だが、彼は自分の過去の感情が失われていくことを、感情の変化を恐れない。「今」ここにいる自分の感情こそを、常に大切にしようとする。
その語り手の意識こそ、この作品特有の勢いを生みだす原動力となっている。
この勢い、疾走感は、今までの青春小説にありそうでなかった、新しい語り口だと思う。
だから私は、この小説を評価するし、この小説が好きだ。