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読者レビュー

銅

iKILL

読まなきゃわからない

レビュアー:ラム Adept

怖い話が嫌い。
だって怖いじゃん。
怖いとゾワゾワってなるし、主人公が怖い目にあうのも可哀想で嫌。
「iKILL」も、レビュー読んで怖い話だって思ってたんだけど、勢いで読んだらあれ? すっげー面白いよ?
結局どんな話か分かっていなかったので、冒頭からすごく引き込まれた。

だから誤解を恐れずに言う。「iKILL」はホラーではない。
ほんのちょっと怖いのも嫌な人は、まぁ怖いんだろうけど、怖くなるとこまででもちょこっとくらいは読めるよ。うん、いける。大丈夫大丈夫。

だって「iKILL」は面白い。
今まで読んでなかったことを即後悔したくらい。

確かに残酷な描写がリアルなのだけど、主人公の小田切さんは感情がフラットで、残虐さも、小田切さんの見ているものを後ろから見ている感じで、ちょっとだけ距離が遠いのだ。
登場人物が怖がっていないので、そんなに怖く感じない。

でもだからこそ、4章で急にあなたは、あなたは、と波のように連呼されることに恐怖を感じるけど、そこまで読んでもう怖いとか言ってられないし。
「iKILL」は、たとえば、酔った勢いでやってしまった失態を犯したとき、冷静になってそんなことをした自分が怖くなるお酒って怖いねっていう怖さ。それはホラーじゃなくて、自分への失望とかそういう怖さなのだ。
小説読んで自分に失望とかしたくないよね、でも、だから怖がりながらも読める。
怖い話だから……って読まないのはもったいないよ! 私みたいに!!

2011.08.17

のぞみ
「怖い話だから……って読まないのはもったいないよ! 私みたいに!!」ってとこがわかります!まず、読んでみることですよね!
さやわか
僕も「怖いとゾワゾワってなるし、主人公が怖い目にあうのも可哀想で嫌」っていうところに、やけに共感しました! 「怖いとゾワゾワってなるし」みたいな表現が小気味いいです。
のぞみ
賛成ですわ~と言いたくなるレビューでしたわ!
さやわか
わりと書き手自身がどこまで怖い話を読めるか試している感じがあるのがちょっと面白いなと思いました。もっとも、それゆえの臨場感はありつつ、作品そのものを語っている印象は薄らいでいるようにも思いますが……なので「銅」ということにさせてください!

本文はここまでです。