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読者レビュー

銅

星海大戦

持つ者、持たざる者

レビュアー:くまくま

 もしぼくがこの作品世界にいたら、きっとグリーンホーンに対して嫉妬することだろう。グリーンホーンだけが早く宇宙を駆け抜けることが出来る。ゆえに彼らだけが世界を変革する資格を持つのだから。

 この世界において木星圏と土星圏に分かれて住む人類は、互いの政治体制などの違いで対立し、戦争状態に陥っている。この戦争の主役となるのが航宙艦だ。

 航宙艦は光速の数パーセントで航行することが出来る宇宙船だ。このくらいの速度がなければ、自由に太陽系を飛び回ることができない。しかし、普通はこんな速度で飛び回れば、慣性力で中の人間はぺしゃんこになってしまう。
 それを防ぐのがノウアスフィア機関であり、それに対する耐性を持つ人々の総称がグリーンホーンだ。つまり、グリーンホーンでなければ、この世界では戦争に参加することもできない。

 別に戦争に参加できなくても、危ない目に会わなくて済むのだから良いじゃないか。確かにそれも一理ある。しかし、航宙艦は兵器というだけでなく移動手段でもあり、戦争が膠着状態にあることが移動の自由を妨げている。つまり、グリーンホーンでなければ膠着状態を打破することもできないし、打破した後も自由に羽ばたくことができないわけだ。

 だが、羽ばたく鳥にも宿り木は必要だ。休む場所も食べるものも、誰かが作ってくれるから利用できる。そしてそれは、グリーンホーンの仕事ではないだろう。
 彼らも地上に降り立てば、普通の人と同じ様に、そんな諸々に束縛される。そして、ぼくの様に嫉妬にかられた人々は、そのチャンスを逃すことはないだろう。いかにしてグリーンホーンを利用しつつ、しかし足を引っ張るか。そんなことを考えてしまうに違いない。

 というわけで、次巻以降は、グリーンホーンとそれ以外の人々の、泥仕合展開を希望します。って、もうそれはスペースオペラとは呼べないかな?

2011.08.17

のぞみ
ちゃっかり希望を述べているところが、おちゃめな感じで好きですわ!
さやわか
そうそう、最後に要望があるんですよね。これはレビューとして議論の分かれるところなのかもしれませんが、この文章に限って言えば嫌な印象はないですね。姫のおっしゃるとおり、おちゃめな締めになっています。ところがその前のレビュー全体を見ると、この要望に向かって全体が書かれていることがわかる。これは判断が難しいところで、つまりこの文章は半ば、物語に書かれなかったことを空想しながらレビューは書こうとしているわけですな。二次創作的な想像力がわずかに開いているというか。これ自体は悪くはないし作品を楽しむ気持ちも伝わるので「銅」にしますが、しかし本来レビューというにはややあっさりしてしまったかなと思います。違う言い方をすると、このレビューをどういう読者が読んで、どんな気持ちになってほしいのかがわかりにくいようです。いかがでしょう。

本文はここまでです。